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産後ママを手厚く支援
“孤育て”、うつ予防へ ホテル使い相談、託児、休養
地域発の通所型ケア
東京・千代田区
産後のママに手厚い支援を―。東京都千代田区が2022年度から始めた通所型の産後ケア事業が好評だ。区内のホテルを会場に、育児相談や託児などのサービスが受けられる一方、休養も取れるのが最大の特長。昨年6月以降の稼働率は80~100%に上る。公明党議員団(米田かずや幹事長)の提案により、区の産後ケアが充実した。
産後ケア事業の充実を喜び合う(右から)えごし雄一党総支部青年部長と米田、大串の両区議ら
通所型は平日の午前9時30分~午後2時30分まで、区内の「ホテルメトロポリタンエドモント」で実施。区が借り上げる宿泊部屋には看護師または助産師に加え、保育担当者の計2人が常駐し、利用者の希望に応じたサービスを提供する。電話での事前予約制。
対象は区内に住む産後1年未満の母子。入室後、母親は子どもを預けて別部屋で休養したり、ランチプレートのルームサービスを楽しめたりする。このほか、育児・栄養、授乳に関する相談や、助産師による乳房ケアも受けられるなど支援策は豊富だ。
同事業は育児の不安を一人で抱え込む“孤育て”や、約1割の母親が発症するとされる産後うつを予防するのが狙い。費用は1回3000円で、月2回程度まで利用できる。昨年末時点で、利用者は延べ298人に上る。
区内に住む小宅奈見さんは、生後6カ月の李奈ちゃんを育てる1児のママ。出産後、初産のため授乳方法や母子の健康状態に対する不安が絶えず、家で悶々と過ごしていたという。区からの勧めで李奈ちゃんが生後4カ月の時に通所型の産後ケアを利用。「助産師さんが丁寧に相談に乗ってくれたおかげで不安が解消され、涙が出る思いだった」と振り返る。
2児を育てる青木紀子さんも、「家では一人の時間を確保するのが難しい。ホテルでいい休息が取れた」と話していた。
昨年の出生数が初めて80万人を割り込む見通しとなっている今、子育て支援策の拡充は喫緊の課題だ。
公明党は昨年11月、子どもを産み育てやすい社会の構築へ、経済的支援や産後ケアの充実などを盛り込んだ「子育て応援トータルプラン」を策定。結婚、妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまでのライフステージに応じた切れ目のない支援策を掲げる。今後、各地の公明議員が中心となり、“地域発”の試みをリードしていくことが求められている。
千代田区の産後ケア事業については17年度から宿泊型、訪問型の2種類でスタート。党議員団の大串博康議員は16年6月、20年9月の定例会でそれぞれ、産後ケア事業の実施と通所型の導入を提案していた。
米田幹事長は「今後、声を上げたくても上げられない子育て家庭への支援強化を訴えていく」と語っている。