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2023年1月20日

コロナ流行「第8波」

死者数増加の要因は“見かけ以上の拡大”か 
ワクチン、消毒、換気が重要 
国立国際医療研究センター・国際感染症センター長 大曲貴夫氏に聞く

国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから、15日で3年となった。現在の流行「第8波」では、コロナ感染による死者数が過去最多を更新するなど、予断を許さない状況が続く。現在の感染状況や必要な対策などについて、国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長に聞いた。

国立国際医療研究センター・国際感染症センター長 大曲貴夫氏

――現状をどう見るか。

新規の陽性者として報告される数は、昨年夏の第7波のピークを超えていないが、実際は報告されている数以上の陽性者がいると推測される。コロナは、軽症であれば感染した自覚すらない可能性もあるし、検査を受けない人もいるだろう。

他方で、例えば東京都では、自分で購入した抗原定性検査キットで検査して陽性となった場合、都の陽性者登録センターに本人が申請しないといけないが、全員が申請しているとは限らない。

このように報告で上がってこない“見えない陽性者”を含めれば、第7波よりも大きな流行になっているのではないか。

死亡リスク、インフル並みでも他疾患の悪化や後遺症など、特殊性軽視できず

新型コロナ感染症 死亡者数の推移(日別集計)

――死者数増加の要因は。

第8波でも新しい変異株が検出されているが、世界のデータを見ても重症化や死亡のリスクが上がったとの話はない。現場で見ていてもリスクが上昇した印象はない。

リスクが変化していないのであれば、純粋に流行の規模が大きいことが要因だと考えられる。新規陽性者数が“見かけより多い”ことを踏まえれば、その分、死者数も多くなる。新規陽性者の実態を把握しにくくなったことは今後の課題だ。

死亡するリスクを見ると、季節性インフルエンザに近くなってきたものの、コロナは心臓の病気など他疾患を悪化させたり、後遺症の問題など長期間にわたり健康を害したりする特殊性がある。「怖い病気」というよりは、感染したくない「嫌な病気」であり、決して軽く見てはいけない。

個人の感染対策はメリハリをつけて

――必要な対策は。

コロナ患者の増加で病床が逼迫する中、インフルエンザも流行入りしている。心臓の病気や脳血管障害などの発生が多い、寒い時期でもあり、必要な医療をすぐに受けられない状況も生じ得る。健康全般には十分に気を付けてもらいたい。

コロナは感染しないに越したことはない。接種を求められているワクチンはしっかりと打つべきだ。コロナに限らず、ウイルスは手からうつるため、手洗いやアルコールによる手指消毒のほか、換気の徹底など基本的な感染対策も重要だ。

個人の対策については、TPO(時・場所・場合)に応じて、メリハリをつけることが大事だ。例えば、流行期にはリスク回避の行動を取るべきだが、そうでなければ人との交流を減らす必要はない。心身の健康を保つ意味でも、感染状況などを踏まえた賢い生活を心掛けてもらいたい。

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