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2023年1月20日

【主張】がん対策の新基本計画 検診の受診率高める工夫を

約40年にわたり日本人の死因トップであるがんは、医療の進歩により“救える病”となった。一層の対策強化で亡くなる人を着実に減らしていきたい。

厚生労働省は先月、2023年度から6年間の国の取り組みを定める「第4期がん対策推進基本計画案」をまとめた。3月に閣議決定する方針だ。

主眼の一つは、がんの早期発見や効果的な治療を行うために不可欠な検診の受診率を、いかに向上させるかである。計画案では、自治体が行う検診の受診率について、目標値を現行計画の50%から60%に引き上げた。

コロナ禍前の19年は、男性の肺がん検診を除いて50%に達していない。さらに日本対がん協会の調査では、コロナ禍の影響が大きく、20年の受診者は19年比で約3割減少し、21年は持ち直したものの19年より1割下回った。国や自治体は、啓発強化など受診率の向上に知恵を絞るべきだ。

また計画案では、女性や障がい者、非正規雇用者らが受診しやすい環境整備など、利便性の向上に努めるとした。公明党が求めてきたことであり、実現を急いでほしい。

一方、職域における検診では、検診内容や受診率などを正確に把握する体制がない。計画案で「法的な位置付けも含めた対応の検討を行う」と記した通り、受診状況を継続的に把握できるような仕組みを検討してもらいたい。

さらに、治療と仕事を両立できる就労支援の一層の充実も掲げた。19年時点で、がん患者の約4人に1人は20歳から64歳までの世代だ。企業の理解を着実に促すとともに、病気休暇や短時間勤務、テレワークなどの柔軟な勤務制度の導入を推進すべきである。

このほか、患者の身体的・精神的な苦痛を和らげる「緩和ケア」では、診断時から全ての医療従事者が適切に対応できるよう、がん相談支援センターとの連携などで体制整備を進める。

がんになっても、自分らしく生きることができる環境づくりが重要だ。

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