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コラム「北斗七星」
岸田文雄首相は今月、5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国として欧米のメンバー国を歴訪。ウクライナ情勢や食料・エネルギー問題など諸課題への連携強化を確認するとともに「広島サミット」の成功へ協力を呼び掛けた◆初めて被爆地で開催されるG7サミット。核保有国の米英仏を含む主要国のリーダーが一堂に会する。核兵器の使用は絶対に許されない、とのメッセージを世界に発信してもらいたい◆1959年、広島原爆資料館を訪れたキューバ革命の英雄チェ・ゲバラは、「君たち日本人はアメリカにこんなひどい目に遭わされて腹が立たないのか」と憤慨したらしい。非難ではなく、悲しみを共有した上での言葉だったのだろう◆怒りが、憎しみがないはずはない。それを乗り越えて、全人類の共存と恒久平和を願い、戦争という過ちを再び繰り返させない、と誓った被爆者の心が、被爆地を特別な場所にしている◆グテレス国連事務総長は、40年ほど前に広島、長崎両市を訪れ、その時の経験が政治人生の基礎を作ったと語っている。ぜひとも今回、G7首脳には、原爆資料館の視察や被爆者との面会を通して被爆の実相に触れてほしい。(中)