ニュース
子宮頸がん予防 9価ワクチン 公費接種が4月開始
原因ウイルス 8~9割カバー
罹患率、死亡率の減少に期待
国内で毎年約1.1万人の女性が発症し、およそ2900人が亡くなる子宮頸がん。その主な原因となる9種類のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防できる「9価ワクチン」が4月から定期接種化される。現在は全額自己負担のため計10万円程度かかるとされるが、公費負担により原則無料で受けられるようになる。ワクチンの効果などを紹介する。
HPVは、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染する可能性があるウイルスだ。大半は自然に排除されるが、一部の人で持続的に感染し続け、がん化する。HPVには200種類以上のタイプ(遺伝子型)があり、特に、がんを引き起こすリスクの高いタイプは、少なくとも15種類あるとされる。
既に定期接種化されているHPVワクチンは、このうち、がんの原因の6~7割を占める2種類(16型、18型)の感染を防ぐ「2価ワクチン」と、これに性感染症の尖圭コンジローマの原因となる2種類(6型、11型)を予防対象に加えた「4価ワクチン」がある。
今回、定期接種に新たに追加される9価ワクチンは、有効性と安全性の確認を経て、2020年7月に国内で薬事承認されたもの。4価のタイプに加え、5種類(31型、33型、45型、52型、58型)のタイプの予防にも効き、がんの原因のウイルスを8~9割カバーできる。2価・4価よりも高い効果があり、子宮頸がんの罹患率や死亡率の減少につながると期待されている。
厚生労働省は「9価も含むワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診の両輪で、予防に取り組みたい」と説明する。
なお、HPVワクチンは一定の間隔を空けて3回の接種が必要で、性交渉が始まる前の若い世代の接種が望ましい。9価ワクチンの定期接種の対象は、2価・4価と同じ小学校6年生~高校1年生相当の女子となる。既に2価または4価で1、2回目接種を済ませた人が、医師と相談の上、残りの接種を9価で行う「交互接種」も認められている。
“接種呼び掛け”差し控え中に機会逃した女性も対象
2価・4価のHPVワクチンは13年4月の定期接種化後、慢性の痛みを含め多様な症状が報告されたことから、個別に接種を呼び掛ける「積極的勧奨」が同6月に差し控えられた。その後、厚労省の審議会で「安全性についての特段の懸念は認められない」ことが確認され、専門家の意見を踏まえ、22年度から積極的勧奨が再開された。
この差し控え期間中、接種機会を逃した女性(1997年4月2日~2006年4月1日生まれが主な対象)のため、公費負担で接種できる「キャッチアップ接種」が24年度まで行われており、9価ワクチンも4月以降、対象になる。
副反応の相談体制、強化
HPVワクチンの接種後に副反応が疑われる患者のために、厚労省は、診療や相談体制の強化を図る新事業を22年度から進めている。
副反応が疑われる患者を受け入れ、地域の診療の中核的な役割を担う協力医療機関が、これまで全国88カ所(昨年11月時点)整備されてきた。新事業では、この中から、全国8ブロックごとに1カ所以上の拠点病院を選定。拠点病院は、地域の協力医療機関への診療支援や自治体などとの連携のハブ(軸)役を果たす。
専門家によるワクチンの安全性の研究・調査も継続的に続けている。調査によれば、積極的勧奨の再開前(22年3月)と再開後(同年4月以降)で、副反応の疑いのある新規患者数に大きな変化は認められず、安全性に特段の問題はないという。
適切な情報提供促す
公明党厚労部会長 佐藤英道 衆院議員
どのようなワクチンの接種にも一定の副反応があり、常に科学的な根拠に基づき、利益とリスクを考えなければならない。このほど厚労省の審議会で、9価ワクチンの定期接種化の利益がリスクを上回ると判断し、その実施が決定された。諸外国と比べて子宮頸がんの罹患率・死亡率が高い水準にある、わが国の状況が改善されることを期待したい。
ただ、あくまで接種するかどうかは、個人の選択に委ねられる。副反応の疑いへの相談や研究・診療体制には万全を期した上で、一人一人が納得して接種を受けるかどうかを判断できる適切な情報提供が欠かせない。女性の命と健康を守る観点から、公明党は、引き続き丁寧な対応を政府に促していく。










