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コラム「北斗七星」
明・朝鮮軍20万を前に、手勢7千の島津義弘は、全食糧を囮に局面打開に出る。「腹が減っては戦はできぬ、というが……妙なものだ。腹減って堪え難いときでないと知恵が湧かぬ」。義弘は戦局の“匂い”をかいだ(池宮彰一郎『島津奔る』新潮文庫)◆今年は「鬼島津」こと、義弘の没後400年。1572年の木崎原の戦いでは、軍勢300で日向国の伊東氏3千を破り、関ケ原の戦いでは敵中突破して帰還した。戦場から奥方を思う手紙を送る一面もあり、「大河ドラマに」との人気は根強い◆希代の戦上手に倣い、戦局の匂いをかいでみた。九州完勝のカギは「団結」に尽きる。前半戦最激戦の福岡県議選・福岡市早良区。大逆転劇をもたらしたのは、全国や九州各県の支援はもちろん、党筑紫総支部など周辺からの寝食を忘れての援軍だった。後半戦も、この団結が勝敗を分かつ◆食事ができなくなった最晩年、義弘にどう食べさせるか家臣らが思案した。「殿、戦です!」と告げ、膳を出す。外では、ときの声。義弘は目を見開き、すごい勢いで食事を平らげたという◆老いてもなお、戦場への執念を見せる闘将に、家臣はどれほど勇気づけられたことか。最後に勝利を呼び込むのは、軍勢の多寡や環境ではない。「必ず勝つ!」との燃える一念である。(也)