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2022年11月25日

くるみアレルギー急増 加工食品に表示義務化へ

「切実な訴え届いた」 
政府、基準改正案示し手続き急ぐ

「くるみ」の食物アレルギーに悩む人が近年、急増している。こうした事態を踏まえ、消費者庁は、加工食品に表示が義務付けられている「特定原材料」に、くるみを追加する食品表示基準の内閣府令の一部改正案を公表し、手続きを進めている。表示義務化に向けた動きと、公明党の取り組みを紹介する。

アレルギー症状の原因食物(症例数の順位、上位5位)

皮膚のかゆみなどの症状に加え、重篤な場合、アナフィラキシーショックで命を失う恐れもあるのが食物アレルギーだ。患者が誤って口にしないよう、国の食品表示制度は小麦、そば、卵、乳、落花生、えび、かにの7品目を特定原材料として加工食品に表示を義務付けている。さらに、くるみや大豆を含む21品目は「特定原材料に準ずるもの」として表示が推奨されている。

あくまで事業者の裁量に委ねられるが、このうち、くるみのアレルギー症例の増加が顕著だ。消費者庁が3年ごとに行う食物アレルギーの全国実態調査によれば、摂取後60分以内に何らかの症状が現れ医療機関を受診したケースのうち、くるみは2021年度に463件と全体の7.6%を占め、前回調査(18年度)の251件(5.2%)から大幅に増加。今回と前回の調査ともにアレルギーを起こした食品別では、くるみによる症例が鶏卵、牛乳、小麦に次いで4番目に多かった。くるみの消費量の増加が要因の一つに考えられている。

えび、かに以来の追加

くるみアレルギーを巡って、19年7月に開かれた国の消費者委員会食品表示部会は、くるみの表示義務化を視野に入れた検討を決定。消費者庁が、症例数の動向の把握や、食品への検査方法の開発などを進めてきた。

その結果、症例の増加が一時的な現象にとどまらず、検査方法の開発のめども立ったことから、同庁は今年10月、くるみの表示義務化を盛り込んだ食品表示基準の一部改正案を公表。本年度内に食品表示部会への諮問を経て改正し、一定期間後に施行する方針だ。

同庁食品表示企画課は「表示義務化は08年のえび、かにの追加以来となる。手続きを速やかに進めたい」と説明する。

地方議員への“小さな声”から公明、国会質問で後押し

斎ヶ原さん親子と、くるみの表示義務化へ向けた動きを喜び合う石渡県議(左から2人目)と戸野部市議(左端)=12日 埼玉・上尾市

アレルギー物質を含む食品表示制度について、公明党は、1464万人を超す署名活動などを通じて01年4月の制度創設を推進。その後も充実に取り組んでいる。今回の、くるみの表示義務化も、地方議員に寄せられた“小さな声”を国会で取り上げ、政府を後押ししてきた。

それは、埼玉県上尾市に住む斎ヶ原恭範(44)さんからの相談だった。娘・菫さん(9)は2歳の時、くるみアレルギーがあることが分かった。くるみ入りのパンを知らずに食べ、緊急治療を受けたこともあり、常に食事では注意が要る。しかし、加工食品に入っているかは一目では分からず、不安を感じている。

「娘が安心して食べられるようにできないか」。19年春、恭範さんからの相談を受け止めた公明党の石渡豊県議は、すぐに矢倉克夫参院議員と連携。矢倉氏は同年3月の参院予算委員会で「アレルギーのある人が知らずに食べてしまう危険性がある」と表示の義務化を強く訴え、政府は、矢倉氏の指摘を踏まえた調査の実施を「検討したい」と述べていた。

今月12日には、石渡県議と戸野部直乃・上尾市議が斎ヶ原さん宅を訪ね、表示見直しに向けた動きについて報告した。恭範さんは「私たちの切実な訴えを公明党の国会、地方議員が国に届けてくれ、ありがたい」と話す。石渡県議は「一人の声に寄り添うのが公明議員の使命」と語り、戸野部市議は「今後も議員のネットワークの力で住民のために全力を尽くす」と決意を述べていた。

患者の大きな安心に

日本アレルギー学会理事長
国立病院機構相模原病院臨床研究センター長 海老澤元宏氏

私は食物アレルギーの全国実態調査の研究代表を務めており、近年、くるみを含む木の実類のアレルギー症例の急増を危惧していたところだ。くるみは重症化しやすく、表示の推奨だけでは、誤って口にした際のリスクが大きい。義務化されれば、患者が加工食品を食べる際の大きな安心につながると評価できる。

一方、卵や牛乳と比べ、くるみは大人になってから自然に治る割合は少ないとされ、予防・治療法の研究を急がなければならない。木の実類はカシューナッツの症例も増えており、これも将来、義務化するかが喫緊の課題だ。

公明党は20年以上前から一貫して、アレルギー対策に力を注いでくれている。くるみの義務表示化を国会で訴えてくれたことは追い風であり、心強く感じている。

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