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【主張】農水産物の輸出 2年連続で1兆円超、拡大さらに
日本の農林水産物や食品が海外で評価され、輸出が伸びている。生産者らへの支援をさらに強め、一層の輸出拡大につなげたい。
農林水産省によると、2022年1月から10月までの農水産物などの輸出額は1兆1218億円となり、2年連続で1兆円を上回った。円安の進行や海外の外食需要の回復が主な理由で、昨年より1カ月早い大台突破である。
このまま順調に伸びれば、年間輸出額は10年連続で過去最高を更新する。25年に輸出額2兆円を掲げる政府は、目標達成時期の前倒しを念頭に取り組みを強化する方針だ。
輸出をけん引したのは、海外の品評会でも高い評価を受けている牛肉やホタテ貝、日本酒などである。国・地域別の輸出額では、中国が前年同期比で約25%増の2293億円と最多で、米国が1655億円、香港が1640億円と続いた。東南アジア諸国の伸びが目立つ。
農水産物などの輸出拡大に向け、生産者や加工・販売業者は、味や品質で海外の高い評価を得られるよう努力を重ねてきた。加えて、国を挙げた販売戦略も奏功している。
その一つが、輸出品目ごとに生産者らをまとめた「品目団体」の発足だ。
これは今年の通常国会で成立した改正輸出促進法に基づくもので、国に認定された産地横断の団体が、輸出先の売れ筋や規制の調査、販路開拓、宣伝活動などを効率的・効果的に展開している。今年度第2次補正予算には、品目団体への支援などに440億円が盛り込まれた。
一方で、農林水産業の担い手不足といった課題にも目を向けねばならない。
公明党は11月24日、党内に「農林水産物等の輸出促進に関するプロジェクトチーム」を設置した。農林水産業の成長産業化を進めるとともに、働き手の育成・確保などの課題にも取り組む。
人口減少で国内市場が縮小する中、海外需要の取り込みをめざす生産者らを、しっかりと後押ししたい。