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2022年9月30日

踏切に点字ブロック

視覚障がい者の安全な通行へ

視覚障がい者にとって大きな危険を伴う踏切の通行。その安全確保に向けて国土交通省が6月、道路バリアフリー化の指針を改定して踏切への点字ブロックの設置を促したことから、各地で対策強化が始まっている。きっかけは、4月に奈良県大和郡山市の踏切で起きた全盲の女性の死亡事故。公明党は、こうした惨事を二度と起こさぬよう対策強化を訴えていた。

「危険を避けて渡る命綱」
遮断機の内側に新設
奈良・大和郡山市

点字ブロックが新設された踏切を歩く辰巳会長=27日 奈良・大和郡山市

通行者を導くように、踏切の端から端までを一直線に結んで設置された幅45センチの白い点字ブロック(表面に凹凸のある誘導表示)。その凹凸を白杖で確かめながら、大和郡山市内にある近鉄橿原線の踏切を横断したのは、奈良県視覚障害者福祉協会の辰巳壽啓会長だ。「点字ブロックは私たちの命綱。これがないと怖い。周囲の音に耳を澄まし、白杖や足の裏の感覚を頼りに細心の注意を払って踏切を渡るが、それでも危険はある……」と語る。

この踏切では4月25日、白杖を持った全盲の女性が特急列車に接触して亡くなる痛ましい事故が起きた。横断中に遮断機が下りてしまい、女性は立ち位置が分からず、自分が踏切の外側にいると思い込んで事故に遭ったと見られている。

再発防止に向けて同市は6月8日、視覚障がい者の歩行の手掛かりとなるよう、踏切の内側であることを示す点字ブロックを設置。併せて、経年劣化で一部が損傷していた踏切手前の点字ブロックも新しく設置し直した。

踏切内に点字ブロックが設置されるのは県内初で、同様の踏切は近畿地方でも数カ所しかない。事故直後から対策を求めてきた辰巳会長は、「迅速な対応に感謝している。全国の踏切でも、視覚障がい者の利用頻度の高い場所から優先的に進めてほしい」と話す。

同踏切での早急な対策の陰には、公明党の奈良県議団(大国正博団長)と、大和郡山市議団(福田浩実幹事長)の尽力があった。

議員らは5月24日、辰巳会長や市職員と共に、再発防止策を探って事故現場の踏切を調査した。この時、辰巳会長は踏切内の点字ブロックの設置を要望。市側も設置を検討していたが、踏切内の工事を巡り、鉄道事業者との調整が難航していた。

そこで大国団長らは、公明党の山本香苗参院議員らと連携し、国交省に現場の声を届けた。その結果、同省が市と鉄道事業者との間に入って協議を進めた。これにより速やかな対策実施につながった。

国交省、指針改定し整備促す
公明の国会・地方議員の要請受け

斉藤国交相(中央左)に要請する公明党の奈良県議団、大和郡山市議団と山本(香)氏(右端)=6月 国交省

この事故を受けて公明党の奈良県議団と大和郡山市議団、山本参院議員は、「同じような事故を二度と起こしてはいけない。全国で取り組むべき課題だ」と一層の対策強化を国交省に働き掛け、6月9日には斉藤鉄夫国交相に対し、要望書を提出した。

これを受け、国交省は道路バリアフリー化に関する指針を改定し、全国の自治体や鉄道事業者に通知した。

改定後の指針では、道路を管理する自治体に対し、①踏切の手前に注意喚起の点字ブロックを設置すること②踏切内では、踏切の外にいるとの誤認を防ぐため、表面に凹凸のある誘導表示を設置すること――の2点を求めている。

改定前の指針でも踏切の安全対策が促されていたが、「具体的に何をすべきか、ここまで踏み込んだ内容を記載するのは今回が初めて」(国交省企画課)。また、同省路政課によると、対策実施にかかる整備費用は、踏切1カ所当たり数十万円~100万円ほど。自治体に対する国の財政支援として、「踏切道改良計画事業補助制度」や「社会資本整備総合交付金」などが活用可能という。

各地で対策強化始まる

国交省の指針改定を受け、各地の自治体も踏切の安全対策に乗り出している。

例えば、兵庫県伊丹市は8月、市道上にある12カ所の踏切について検討を行い、視覚障がい者の利用頻度が特に高い阪急新伊丹駅の北側の踏切内に点字ブロックを設置した。県内で初の試みとなる。

同市は今後も鉄道事業者や視覚障がい者団体との協議を重ねながら、設置箇所を増やす考えだ。

こうした対策の実施に当たっては、当事者の声が反映された踏切となるよう、公明党の山本恭子市議が視覚障がい者団体と行政との橋渡し役を担った。

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