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スマホ利用し救命率向上へ
ライブ映像で現場把握
静岡市消防局
静岡市消防局は11月から、火災・事故・急病などの現場のライブ映像をスマートフォン(スマホ)を利用して通報者と指令センターの間で送受信するシステム「Live119」の試験運用を始めた。来年4月から本格運用する予定。同システムを開発した株式会社ドーンによると東京都、大阪市、福岡市など65の消防本部が導入している。
「Live119」の使い方を聞く党静岡市議会のメンバー(奥側6人)
静岡市消防局は、静岡市、島田市、牧之原市、吉田町、川根本町の3市2町を管轄している。
「Live119」は、スマホからの119番通報に利用できる。第一報を受けた後に指令員が、音声のみでは現場の状況を把握しにくい場合、通報者にショートメッセージを送信。そこに書かれたURLをタップすると、現場の様子を映像で送信できるようになる。アプリは必要ない。現場に向かっている救急隊も映像を見られる。
通報者に対し応急手当て法の動画も送信
救命率向上は、救急隊到着前に応急手当てが行われるかどうかが鍵を握る。このシステムでは指令側が、どういう手当てが必要かの判断や指示がしやすく、通報者側も言葉よりも的確に状況を伝えられるのが特長だ。通報者に応急手当ての処置方法を知らせる動画を送ることもでき、市消防局は胸骨圧迫、窒息への対処、AED操作方法の3種類を用意。いずれも字幕付きだ。
このほか、市民向けにシステムを説明したパンフレットも作成した。今後は、消防署や市役所でのパンフレット配布、広報紙での紹介などを通じ、周知していく。
静岡市民の60代女性は「心肺停止や多量出血の現場に出くわした際に、焦って適切な対応ができないと思う。通信指令員が映像を見ながら指示してくれれば心強い」と語る。
市消防局の担当者は「現場に居合わせた人による効果的な応急手当てが可能になる。救命率が上がってほしい」と願いを込める。
公明党静岡市議会(山本彰彦代表)の山梨渉議員は今年2月定例会で、「119番通報後、救急車が到着するまで、どのように適切な初期対応をしたらよいのか戸惑う人が多いのが実情」と指摘。「救命率向上のためLive119を導入すべきだ」と求めていた。