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旧統一教会問題 救済新法案を閣議決定
不当な寄付勧誘を規制
借金など要求禁止、罰則も
政府は1日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害者救済新法の法案を閣議決定した。これに先立ち公明党は同日、東京都新宿区の党本部で中央幹事会を開き、同法案を了承した。再発防止へ不当な寄付の勧誘を禁止し、対策を強化することなどが柱。政府は今国会の成立をめざす。
法案の名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律案」。寄付の勧誘に際して、「霊感」を用いて不安をあおり個人を困惑させる行為のほか、借金や住居の売却、田畑や工場といった事業用資産の処分による寄付金調達の要求などを禁止する。
被害者救済の観点から、寄付の取り消し権を行使できる期間は、寄付の意思表示から5年間(霊感を用いた場合は10年間)可能とした。
国の命令に違反した場合は「1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金」、虚偽の報告には「50万円以下の罰金」を科す罰則規定も盛り込んだ。
また新たな被害を防ぐため、寄付を勧誘する法人に対する配慮義務を規定。「個人の自由な意思を抑圧し、適切な判断が困難な状態に陥ること」などがないよう定めた。
被害者の子や配偶者の救済では、民法の「債権者代位権」の特例を導入。将来受け取れるはずの生活費などの範囲内で、取り消し権や返還請求権が行使できる。
一方、法案には、制度の運用に当たって、法人などの活動に寄付が果たす役割の重要性に留意しつつ、個人や法人などの信教の自由や学問の自由に十分配慮することを明記した。法施行後3年をめどに見直す規定も盛り込んだ。
旧統一教会の被害救済を巡り公明党は、消費者対策本部(本部長=古屋範子副代表)で有識者らへのヒアリングを重ね、10月に岸田文雄首相に提言を提出し、新法の検討を促していた。また与野党協議の場を通じ、実効性のある被害者救済に向け議論を進めてきた。
国会審議を早急に
与野党協議の意見反映
山口代表
公明党の山口那津男代表は1日午前、東京都新宿区の党本部で開かれた中央幹事会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の再発防止・被害者救済のための新法について、早期成立へ早急に国会審議ができるよう調整を進めていくべきだと強調した。
山口代表は、救済新法の内容に関して「与野党協議で野党から広く意見をいただきながら、そうした主張も法案の中にかなり反映されている」との認識を表明。また、「今国会で成立を図るコンセンサス(合意)が与野党で形成されてきているのではないか」と述べた。