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2022年12月1日

危機の時代克服へ 識者に聞く

COP27の成果 
温室ガスの排出量取引や技術開発で日本が主導を 
東京大学公共政策大学院特任教授 有馬純氏

エジプトで開かれた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が先月20日に閉幕した。これまで同条約の首席交渉官の一人として地球温暖化交渉に関わり、今回の会議にも参加した東京大学公共政策大学院の有馬純特任教授に、会議の成果や今後の課題を聞いた。

――会議の成果は。

有馬純特任教授 地球温暖化で引き起こされる「損失と被害(ロス&ダメージ)」に対応するため、途上国支援の基金を創設することで合意した。気候変動の原因となる温室効果ガスを排出してきた先進国側に対し、途上国側が長年、資金支援を要求し続けていたこともあり、途上国側の大勝利だったと言える。

――なぜ基金創設の議論が進んだのか。

有馬 エジプトが議長国だったことが大きい。アフリカ開催ということもあり、途上国の主張に比重が傾きやすかった。豪雨による洪水で国土の3分の1が水没したパキスタンのように、途上国で異常気象による被害が多発していることも一因だろう。

もう一つは、ロシアによるウクライナ侵略だ。世界がエネルギー・食料危機への対応に忙殺される中で、温暖化問題に対する関心が実質的に低くなっている。先進国としては、温暖化対策が間断なく進展していることを国際社会に示さざるを得なかった。

基金創設に向けては、今後発足する専門の委員会が検討する。焦点は途上国が求める各国の拠出額だろう。実効性ある枠組みづくりが必要だ。

――会議での日本の対応は。

有馬 今回の会議は、産業革命前と比べた気温上昇を1.5~2度に抑える「パリ協定」の達成に向けた実施フェーズの会議であった。その中で日本は、パリ協定に基づく国際的な排出量取引制度のパートナーシップを立ち上げ、67の国・機関が参加したことは一定の成果だろう。

会議は巨大な国際見本市でもある。日本は会場内に設置した「パビリオン」で、水素や洋上風力など優れた技術を発信し、海外から非常に多くの注目を集めていた。また、企業が優れた製品を生み出すことで、排出量削減にどれだけ貢献したかを見える化する「削減貢献量」という考え方についても各国と共有した。こうした取り組みは評価したい。

1.5度目標へコスト低下が不可欠

――パリ協定の1.5度目標に向け、日本はどう取り組むべきか。

有馬 欧米などと比べて資源に乏しく、近隣諸国と送電網やパイプラインで結ばれていない日本は、先進国の中でも脆弱なエネルギー構造と言える。既存技術だけでは達成不可能であり、蓄電池や水素、次世代原子炉など革新的技術の開発と、そのコスト低下が不可欠だ。

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