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コラム「北斗七星」
今月、発刊された仁志田博司・東京女子医科大学名誉教授の『赤ちゃんの命を守る あおむけ寝』(東京書籍)を読み、SIDS(乳幼児突然死症候群)への認識を改めた◆“原因不明の疾患”と思っていたが<病因・病態は睡眠時無呼吸からの覚醒反応の遅延>と知った。生後6カ月までの発症が8割を占める、この病は<最大の誘因である「うつぶせ寝保育」が行われなくなったことで、発生頻度が激減>したという◆<赤ちゃんの仰向け姿勢が人間を進化させた>。「あおむけ寝」は親子の対面コミュニケーションや声でのやりとりを促し、両手が自由になり道具を使う力が育つ。霊長類研究者の言葉と出会った仁志田氏は、安全な睡眠姿勢を伝える決意に燃えた◆仁志田氏は、保育施設でのSIDS対策のポイントも紹介。①環境に不慣れな預かり初期は発症リスクが高い②睡眠中、うつぶせ・横向きになったら、すぐあおむけに戻す③あおむけ寝の習慣を④睡眠中、優しく触れて異常の確認――を挙げている◆12月以降、寒い時期に増えるSIDS。「あおむけ寝」に加え「できるだけ母乳で育てる」「妊婦や赤ちゃんの近くでタバコを吸わない」ことが発症のリスクを下げる。(川)