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【主張】国産初コロナ飲み薬 軽症者の在宅治療が大きく前進
厚生労働省は22日、軽症者にも使える国産初の新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」を緊急承認した。25日の会見で加藤勝信厚労相は「28日から本格的な供給を開始する」と表明した。
新型コロナの感染第8波の懸念が強まる中、治療の新たな選択肢が広がる意義は大きい。国産化は安定供給にも重要だ。
軽症者向け飲み薬は、既に海外製の2種類が実用化されているが、いずれも重症化リスクのある高齢者らが対象だ。一方でゾコーバは、重症化リスクに関係なく12歳以上であれば軽症の段階から服用できる特徴がある。自宅でも服用できるため医療現場の負担軽減にもつながる。
塩野義製薬が開発したゾコーバは、今年2月に承認申請されていたが、症状の改善効果がどの程度あるか分からないとして継続審議となっていた。
今回の緊急承認につながった最終段階の治験では、発症から72時間以内に服用を開始すると、オミクロン株に特徴的な発熱や喉の痛みなど五つの症状が改善されるまでの時間が、約1日短縮できたという。
ゾコーバは医師の処方が必要で、妊娠中または妊娠の可能性がある女性は服用できないほか、別の薬を服用している場合には併用できないケースもある。
懸念されるのは、今後、ゾコーバを求める軽症者が外来に集中する可能性があることだ。オンライン診療の活用など、混乱を防ぐ仕組みをつくる必要がある。
公明党は新型コロナの治療について、重症・中等症・軽症の症状に応じて薬が活用できるよう順序立てて取り組みを進めてきた。
まず、重症者向けのレムデシビルを実用化し、次に全国民分の海外製ワクチンを確保、重症化を防ぐ中和抗体薬の種類と対象を拡大した。さらに、軽症者に使える飲み薬の早期実用化へ、政府に審査の迅速化や変異に応じた審査の必要性を訴えた。
今後も公明党は、感染症拡大に備えた取り組みを進め、国民の命と生活を守っていく。