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初の国産コロナ飲み薬「ゾコーバ」緊急承認
軽症者に新たな選択肢
政府、来月上旬にも供給開始
公明、迅速かつ変異に応じた審査推進
22日に緊急承認された新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」。塩野義製薬が開発し、軽症者にも使える初の国産薬となる。加藤勝信厚生労働相は「新たな治療の選択肢の一つとして期待している」と表明。政府は100万人分を購入することで塩野義と基本合意しており、12月上旬に供給を開始する見通しだ。国産飲み薬の実用化については、公明党が強力に後押ししてきた。
コロナの治療を巡っては、重症者には既に承認された薬があるが、ゾコーバによって今後は幅広い患者に対し国産薬による治療ができる。
既に米製薬大手メルクや米ファイザーも飲み薬を開発し承認されているが、ゾコーバの承認で飲み薬が安定供給されれば、今後はインフルエンザなどと同様に、病院の診断を受ければ重症化リスクと関係なく処方を受けられる。
緊急承認は感染症の流行などの緊急時に限り、有効性が推定できれば速やかに医薬品などを薬事承認できる制度。5月に導入され、今回初めて適用された。
公明党は、国産飲み薬の早期実用化を政府に提言。今年2月の衆院予算委員会では岸田文雄首相から、最終段階の臨床試験(治験)が完了する前の実用化を認める条件付き早期承認も含めて「あらゆる手法の活用を視野に迅速に審査したい」との答弁を引き出した。
7月の審議で承認が見送られた際には、デルタ株からオミクロン株への置き換わりを踏まえ、変異に応じた審査が必要だと政府に主張。今回の審査では、最終段階の治験で示されたオミクロン株に特徴的な症状の改善効果が考慮された。
薬の確保でも昨年9月に、国内外で開発中の飲み薬が実用化された際に国費で買い上げて迅速に確保するよう提言。当時の官房長官から「抜かりなくやりたい」との返答を引き出した。今年3月14日には、参院予算委員会で国産飲み薬の購入契約の早期締結を要請。同25日に政府は、100万人分の購入について基本合意を発表した。
命守る体制 着実に整備
党新型コロナ感染症対策本部長 石井啓一 幹事長
飲み薬の国産化は、軽症者が自宅などで服用できる薬の供給を過度の輸入に頼らなくて済むという意義があり、党としても、関係者を党会合に何度も招いて治験の結果を確認しながら、早期実用化を強力に後押ししてきた。
政府に対しては、既存の条件付き早期承認であれ、新たな緊急承認であれ、迅速に審査するべきだと提案。ウイルスの変異に応じた審査の必要性も訴えてきた。今回、公明党の主張に沿った形で審査が行われ、承認に至ったことは評価できる。その上で、今後、医療現場で流通しやすいよう適正な薬価で国産飲み薬を評価することが重要だ。
コロナの治療について公明党は、重症・中等症・軽症と各段階に応じた薬が活用できるよう順序立てて取り組んできた。その結果、まずは重症者の命を守るためのレムデシビル、次に全国民分の海外ワクチンの確保、重症化を防ぐ中和抗体薬の種類と対象を拡大し、そして、軽症者に使える飲み薬と、治療薬のラインアップを着実にそろえることができた。
引き続き、コロナから命と健康を守るために全力を尽くしていく。