ニュース
【主張】「第8波」への備え ワクチン接種の呼び掛け強化を
新型コロナウイルスの感染「第8波」の懸念が強まっている。政府は11日、第7波と同じかそれを上回る感染状況では、知事が「対策強化宣言」を出せるとする新たな方針を決めた。感染拡大を抑えられるよう備えを急ぐべきである。
直近1週間の新規感染者数は、前の週と比べ1.4倍となった。47都道府県の全てで増えており、特に東日本を中心に増加ペースが速まっている。
政府分科会の尾身茂会長は10日、首相官邸で岸田文雄首相らとの協議会終了後、記者団に「地域でスピードの差はあるが、新しい波に入りつつあると言っていい」との認識を示した。
政府は国民への情報発信に努め、感染防止策に関する呼び掛けを強める必要がある。
まず重要なのがワクチンの接種促進だ。
11日時点の接種率は、1回目が全人口の81.4%、2回目が80.4%なのに対し、3回目は66.5%にとどまっている。ワクチンの効果は時間の経過とともに低下するため、感染予防や重症化防止には追加接種が必要となる。
既に、オミクロン株に対応した2価ワクチンの接種が始まっている。厚生労働省では「BA.1」対応型と「BA.5」対応型のどちらも、従来の1価ワクチンを上回る効果と、今後の変異株にも有効である可能性が期待されるとしている。
また、5歳から11歳までの小児や生後6カ月から4歳までの乳幼児についても、重症化するケースがあることから厚労省は接種を推奨している。
このほか、病床の確保や検査体制などについても、自治体と連携を緊密に取りながら万全を期してもらいたい。
冬にかけてインフルエンザとの同時流行も懸念されている。厚労省は、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの同時接種は可能との見解を示している。どちらの感染症も発熱などの初期症状が似ているため、インフルエンザの予防接種も大切だ。