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コラム「北斗七星」
6日付の本紙で紹介されていた、「全盲ろう」である福島智・東京大学教授の半生を描いた映画『桜色の風が咲く』(配給=ギャガ)を鑑賞した。9歳で失明し、18歳で聴力をも失ってしまう少年の葛藤や成長とともに、彼を支える母の献身、家族や友人の励ましを紡いだ佳作に思わず涙がこぼれた◆福島教授とは取材で何度かお会いした。インタビューは劇中にも出てくる「指点字」だ。北斗子の質問を、指点字通訳者が教授の指を点字タイプライターのキーに見立ててタッチして伝える。指点字の伝達がスムーズなため、北斗子が話し終えると、すぐに本人の声で答えが返ってくる◆ハンディを感じさせない軽快なやりとりに、いつも驚かされたが、ここには“名通訳”の存在が欠かせない。言葉をただ伝えるだけでなく、こちらが気付かぬうちに「目の前に50代男性がいる」「資料を読んでいる」といった状況説明まで加えているからだ◆次元は異なるが、公明議員には住民からの「小さな声」や「声なき声」も届けられる。それを受け止め、政治につなぐには「聴く力」が求められる。その上で課題をまとめ、的確に「伝える力」も不可欠だ。ここに公明党の政策実現の証しがある。(歩)