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マイナ保険証
政府は10月、2024年秋に現行の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカード(以下、カード)と一体化させる「マイナ保険証」に切り替える方針を発表しました。そのメリットなどについて、公明党厚生労働部会長の佐藤英道衆院議員に聞きました。
答える人=党厚生労働部会長(衆院議員) 佐藤英道さん
■Q 一体化のメリットは
■A 医療面のデジタル化進め効率性や利便性が向上へ
アスカ マイナ保険証のメリットは。
佐藤 昨年10月から、カードが健康保険証として利用できます。カードを用いることで、過去に処方された薬の履歴や特定健診の結果などのデータが自動で連携されます。医師や薬剤師は本人の同意を得た上でそれを活用し、より良い医療を提供できるようになると期待されています。患者の立場で言えば、診療などの際、自らの情報を口頭で説明する必要がありません。
政府が「デジタル社会のパスポート」とPRしているように、カードが普及すれば、行政サービスの効率性や国民の利便性が一層向上します。マイナ保険証への切り替えは、カード普及による、医療面のデジタル化を進める意義があります。
アスカ カードの保険証利用登録件数は。
佐藤 公明党が昨年の衆院選で訴えて実現した、1人当たり最大2万円分のポイントを付与する「マイナポイント第2弾」もあり、6月末時点の約942万件から10月末時点で約2884万件へと、3倍以上に増えています。
■Q 不安を感じる国民も
■A カード無しでも保険診療受けられる仕組みを検討
アスカ マイナ保険証の利便性以上に不安を感じる国民もいます。
佐藤 カード一体化の発表を受け、公明党は厚労部会などの合同会議を開催。現場の声を踏まえ、私から政府に「(マイナ保険証は)推進すべき取り組みだが懸念も多い。国民の不安を払拭するためにも迅速で丁寧な説明が必要だ」と強く主張しました。
アスカ その後の政府の対応は。
佐藤 例えば、24年秋以降、カードがないと保険診療を受けられないということはありません。岸田文雄首相が10月31日の記者会見で、そのための仕組みなどを協議する検討会を立ち上げる方針を示しました。また、「成長に伴って顔つきが変わる乳幼児にもカード取得の際の顔写真を義務付けるのか」との懸念については、不要とする方向で政府は調整を始めています。
このほか、「カードを紛失した場合、再発行までの間、病院を受診できなくなることはないか」など、現行の保険証廃止に伴う不明確な点がいくつもあります。改めて政府から説明を受ける予定です。
■Q 情報流出が心配
■A 不正取得しようとするとICチップ壊れる仕組み
アスカ 国会質疑でもマイナ保険証について取り上げていますね。
佐藤 10月26日の衆院厚労委員会で、停電時やサイバー攻撃でシステムが停止した場合の対応を確認したところ、既に現行のマニュアルに定められていることが分かりました。具体的には、システム復旧後に四つの情報(氏名、性別、生年月日、住所)を入力する対応で、保険診療を事前に受けられます。
アスカ そもそもカードを取得しない理由として、情報流出の心配が挙げられます。
佐藤 デジタル庁の調査でもそれが最多でした。この点で言うと、現在でも、カードのICチップに氏名や住所などの情報は入っていますが、税や年金などのプライバシー性の高い情報は記録されていません。仮に情報の不正な取得を試みた場合、ICチップが壊れる仕組みになっています。
アスカ 初耳でした。
佐藤 このように国民への正しい情報の発信が欠かせません。加えて医療機関などで普及にかかるコストの支援など、政府の取り組みをしっかり後押ししていく決意です。