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【主張】東京デフリンピック 聴覚障がいへの理解進める契機に
聴覚障がい者の国際スポーツ大会「デフリンピック」の2025年夏季大会が東京で開かれる。9月の国際ろう者スポーツ委員会総会で決まったもので、日本での開催は初めてだ。
昨年の東京パラリンピックに続き、障がいの有無にかかわらず誰もが活躍できる共生社会の実現に向け、取り組みを加速させる契機としたい。
デフリンピックは4年に1度開催され、夏季と冬季それぞれの大会が2年間隔で交互に行われる。パラリンピックには聴覚障がい者向けの競技がないため、デフリンピックは「ろう者のオリンピック」とも呼ばれる。「デフ」とは、ろう者という意味の英語だ。
新型コロナの感染拡大で1年延期となった今年のブラジル大会では、陸上やサッカー、柔道、水泳、バレーボールなど20競技が行われ、日本は過去最多30個のメダルを獲得した。東京大会では70を超える国や地域から5000人以上の選手らが参加する予定だ。熱戦を期待したい。
デフリンピックではスタートの合図を音ではなくランプや旗を使って伝える。大会期間中は選手全員が国際手話を使う。また、選手に送る拍手は手をたたくのではなく、両手をひらひらと動かす。こうした経験が聴覚障がいへの理解を深める一助となろう。
全日本ろうあ連盟の久松三二デフリンピック準備室長は、「残念ながら、きこえる人ときこえない人の間には、コミュニケーション・情報の“壁”が依然として存在する。東京デフリンピックを機に、その“壁”をなくし、障がいの有無で分け隔てられることのない共生社会へと大きく前進していきたい」とのコメントを本紙に寄せている。
公明党はデフリンピックの東京招致を強力に推進してきた。国会で政府による全面的な支援を訴え、都議会でも招致を働き掛けた。東京大会の決定を受け、10月5日には党本部に「2025年デフリンピック東京大会推進本部」を立ち上げている。今後も成功に向け全力で取り組んでいく。