ニュース
コラム「北斗七星」
よく本紙に載るモノクロ写真がある。1960年代、小学校の教室で児童が一列に並び、女性教師から教科書を受け取る場面。公明党が誇る実績の一つ「教科書無償配布」を紹介する写真だ。真新しい教科書を両手で受け取る児童の瞳が輝いて見える◆教科書のルーツは、ちょうど150年前の1872年にさかのぼる。明治初期の同年、近代的な学校制度を定めた教育法令「学制」が公布。「邑に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん事を期す」と理想を掲げた。以来、全国各地に学校が設けられ、教科書が普及する◆長い教科書の歴史に今、転機が。パソコンやタブレット端末で使うデジタル教科書の段階的導入が2024年度から本格化する。文部科学省は小学5年~中学3年の英語で先行導入し、25年度には算数・数学でも導入する方針だ◆紙の教科書にない利点はある。音声や動画を活用でき、文字の拡大も自在。しかし、記憶の定着や思考力を育む効果は紙の教科書が勝るという分析がある。視力低下も懸念される◆当面はデジタルと紙を併用するという。教育は国家百年の計。子どもたちの瞳がもっと輝くように、両方のメリットを効果的に組み合わせ、最適な学びにつなげたい。(東)