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2022年11月1日

有効性・安全性は担保

コロナワクチン 6カ月~4歳児も開始 
迷ったら、かかりつけ医と相談を 
日本小児感染症学会理事長 森内浩幸 長崎大学大学院教授に聞く

生後6カ月~4歳の乳幼児を対象とした新型コロナウイルスワクチン(米ファイザー製)の接種が10月24日から可能となり、準備の整った自治体から順次実施されている。有効性や安全性、接種前後の留意点はどうなのか。日本小児感染症学会理事長で長崎大学大学院教授の森内浩幸氏に聞いた。

――使用されるワクチンについて。

森内浩幸教授 既に国内で使われている大人用(12歳以上)、小児用(5~11歳)と基本的には同じだ。中国・武漢由来の従来株を基に、感染に関わるスパイクタンパク質の設計図となる「メッセンジャーRNA」(mRNA)を主成分としており、接種後、mRNAに基づいて体内で作られるタンパク質に対する免疫反応を呼び起こすことで、実際に感染した際の発症や重症化を防ぐ。

異なるのは接種する量だ。1回当たりの有効成分のmRNAは3マイクログラム(1マイクロ=100万分の1)で、これは大人用の10分の1、小児用の3分の1程度と少ない。少量なのは副反応を抑えるためだが、その代わり、十分な効果を得るには3回の接種が必要で、1回目の3週間後に2回目、さらに8週間以上空けて3回目を打つことになる。

――有効性・安全性は。

森内 治験(臨床試験)では、オミクロン株の流行下で3回目接種後に73.2%という高い発症予防効果が確認された。この数値は、インフルエンザワクチンがよく効いた場合と同じくらいだ。副反応は注射部位の痛みや発熱、倦怠感などが見られたが、有効成分を含まないプラセボ(偽薬)と比べて、あまり変わりがなかった。乳幼児期に使われる他のワクチンと比べても副反応の出方に大差はなく、有効性・安全性は担保できている。

健康状態、家庭状況踏まえ判断、基礎疾患ある場合は特に推奨

――乳幼児の接種には努力義務が適用されるが、接種を受けるか判断に迷う場合は。

森内 かかりつけ医に相談するのが一番だ。乳幼児は普段から小児科にかかっていると思う。かかりつけ医は、その子の健康状態や性格、家庭状況なども踏まえて相談に乗ることができる。例えば、がんの治療を受けていると重症化リスクが高いのにワクチンの効果は低いので、そういう人が家族にいれば感染対策が重要だ。ワクチンの感染予防効果は高くはないが、少しでも家庭に持ち込むリスクを下げるために子どもへの接種を検討することもある。

本ワクチンは接種のメリットがデメリットを上回るといえるが、そのバランスは個人や家庭ごとに違うということを念頭に、接種するかどうかを決めると良いだろう。

――接種が特に推奨される子どもはいるのか。

森内 0~1歳児は普通の風邪でも年長の子どもより重症化しやすい。新型コロナ感染症でも4歳以下は5歳以上より重症化しやすい傾向がある。特に基礎疾患があると重症化リスクが高く、接種を強く推奨したい。

ただ、発熱などの副反応は、程度は同じでも、基礎疾患がある子は健康な子に比べて、より体にこたえる。接種後にもしも体調が悪くなったとしても、かかりつけ医に診てもらえるよう準備しておくことが望ましい。

打つ前後のポイント

▼事前の体調管理を万全に
▼普段から子どもを医療機関に連れていく人が同伴することが望ましい
▼母子手帳、お薬手帳、おもちゃなど持参
▼年齢に応じた解熱鎮痛剤など準備
▼かかりつけ医にすぐ相談できる態勢を
▼定期接種のスケジュールを優先

 

――接種までに気を付けるべきポイントは。

森内 生後6カ月~4歳の子どもは風邪をひきやすいので、事前の体調管理が必要だ。また、接種会場に同伴するのは、普段から子どもを医療機関に連れて行っており、接種の際に子どもが動かないように体を押さえ慣れている人が望ましい。コロナワクチンは筋肉注射なので打つ部位が決まっており、動かれると適切に接種できないからだ。

――接種当日に持参するものについては。

森内 はしかや水ぼうそうなど定期接種のワクチンを打ってから2週間以上経過しているかを確実に確認するため、母子健康手帳を必ず持参してもらいたい。薬にアレルギー反応が出た子では原因物質を特定する目的で、お薬手帳もあると良いだろう。さらに、注射というのは「今か今か」と待ち構えると痛みが強くなるので、接種の際に、子どもの意識を注射からそらすためのおもちゃなどを用意することも大事だ。もちろん待ち時間にもそれがあると便利だ。

接種後の副反応に備えては、年齢に応じて服用できる解熱鎮痛剤などを準備しておきたい。ただ、万全の対策をした上でも気になる事態は起こり得るので、かかりつけ医にすぐ相談できる態勢を整えることも大切だ。

――定期接種と日程が重なった際、どちらを優先して打つべきか。

森内 定期接種のスケジュールを優先してもらいたい。例えば、はしかにかかると、健康な子どもでも500~1000人に1人が死亡する。対して新型コロナは100万~200万人のうち数十人くらいで、死亡率の桁が違う。コロナワクチンの接種は、ぜひ積極的に検討してもらいたいが、接種の優先順位は①定期接種②インフルエンザ③新型コロナ――の順番がいいと思っている。

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