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厳しい安全保障環境、抑止力の向上が必要
日米が連携して対処
北側副代表が都内で講演
公明党の北側一雄副代表は27日、東京・内幸町の日本記者クラブで「日本の安全保障を問う」をテーマに講演した。北側氏は、年末の「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定に向けた議論について、厳しい安全保障環境を踏まえ、日米同盟の下、日本の抑止力を高めていく必要性を強調。「政府全体で総合的な安全保障体制を構築していくことが重要だ」と力説した。
講演で北側氏は、日本を取り巻く安保環境に関して「十数年前と比べ、わが国周辺のパワーバランスが大きく変化している」と指摘。ロシアのウクライナ侵略や北朝鮮、中国の軍事力の増強を前に「わが国も備えをしていかざるを得ない」との認識を示した。
ミサイル防衛に関しては、北朝鮮のミサイル技術の急速な向上に対し「日米が共同で行っているミサイル防衛システムだけで全ての迎撃が可能なのか」と指摘。日本が相手方領域内のミサイル基地などに反撃する能力を保有することには、抑止力の向上へ「日米同盟の役割分担を維持しながらも、一部こうした反撃能力を米国との連携の下で保有していくという議論だ」と述べた。
防衛力整備のための予算のあり方では「中心は防衛省になるが、政府全体で総合的な安全保障体制を構築していくことが重要だ」と強調。先端技術開発や公共投資、海上保安庁の予算など省庁横断で検討していく重要性を訴えた。
省庁横断で防衛体制の整備を
防衛力整備に必要な予算の財源に関しては「いっときの歳出ではなく、恒久的な財源が求められる。当面、国債発行で賄うとしても、その後、(恒久財源を)手当てしていくことが重要だ」と力説。歳出削減の努力を前提に、必要な予算の優先順位を明確にしながら、国民の理解を得ていく必要性を強調した。
このほか、3文書改定に向けては、組織的な戦いを継続できる継戦能力を維持するための防衛装備品の稼働率向上や弾薬、燃料の確保、サイバー防衛なども重要な論点だと語った。
日中の信頼醸成へ粘り強い努力も
一方で、日本の安全保障に万全を期すための取り組みでは「最大の課題は、隣国・中国との向き合い方だ。台湾海峡での偶発的な衝突の影響が日本や、国際社会に及ぶことは明らかだ」との見解を表明。不測の事態を回避するためにも「信頼醸成の仕組みをしっかりとつくっていかなければならない。米国と連携しながら、粘り強く努力するのも日本の大きな役割だ」と力説した。