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【主張】国連総会決議 露の違法行為許さぬ国が増加
現在の国際秩序の根幹を成す法規範は、武力の行使を禁じ、戦争を違法化した国連憲章2条4項だ。これに背いてウクライナを侵略し、同国の領土を略奪するロシアを非難すべく、国連総会が存在感を示し続けていることは重要である。
193の国連加盟国が参加する総会は12日の緊急特別会合で、ロシアがウクライナの東部や南部の4州を一方的に併合したことを「国際法に違反し、無効」と断じ、ウクライナからのロシア軍の「即時撤退」を求める決議を採択した。
決議には、日本を含む143カ国の圧倒的多数が賛成した。2月に始まったロシアによるウクライナへの侵略に対し、これまで総会が採択してきた一連の決議の中で、今回は賛成国数が最多となった。総会が2014年3月に、ロシアによるウクライナ南部クリミアの併合を「無効」とする決議を採択した際の賛成国数が100カ国であったのと比べても、大幅な増加だ。
今回の決議に反対したのは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、ニカラグアのわずか5カ国。一方、棄権した中国やインドなど35カ国の中には、ロシアに批判的な姿勢を示す国も増えている。例えば、中国は、今回の決議を巡る総会の審議で「ウクライナの民間人が犠牲となり、民間施設が破壊されていることに心を痛めている」と述べ、ロシアに苦言を呈した。
その背景に、ロシアがクリミア併合後に建造した、同地域とロシアを結ぶ橋が爆破されたことを、プーチン大統領はウクライナの仕業であると一方的に決め付け、それに対する「報復である」と表明し、ウクライナ全土の市街地などに爆撃を開始、多くの民間人を殺害していることがある。
そもそも、武力を用いた報復は国際法で禁止されている。橋の爆破の報復で、ウクライナの多数の民間人を犠牲にする攻撃をしたロシアは自らを“無法国家”であると証明しているに等しい。こうした横暴に多くの国が嫌悪感を抱いている現状をロシアは重く受け止め、即時撤退すべきだ。