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安全保障の備え固める
厳しい国際情勢に対応
3文書改定 専守防衛の理念堅持
NHK番組で佐藤氏
公明党の佐藤茂樹外交安全保障調査会長(衆院議員)は16日、NHK番組「日曜討論」に与野党の代表者と共に出演し、年末の「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定に向けて、厳しさが増す国際情勢を踏まえ、議論を尽くす考えを示した。佐藤会長の発言は大要、次の通り。
【日本の安保環境】
一、日本を取り巻く安保環境は厳しさを増している。北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、さらにミサイル能力を向上させている。ロシアのウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みだ。中国は尖閣諸島で日本の領海に侵入し、ロシアと中国は連携して日本周辺で軍事行動を行っている。国民の命と平和な暮らしを守るために、現実に即した防衛力の強化を議論していきたい。
【反撃能力の保有】
一、(敵のミサイル発射基地などを直接攻撃できる反撃能力について)極超音速や変則軌道で飛ぶミサイルなどは迎撃が難しい。ミサイル発射能力が極めて高度化している現実を見ないといけない。反撃能力を持つとしても、専守防衛、必要最小限の措置をいかに確保するかという議論をしていかなければならない。
一、先制攻撃は国際法上、認められていない。日本が先制攻撃と見なされないようにするには、相手国の攻撃着手の厳格な事実認定をしっかりしなければならない。ここでは、発射の早期把握がポイントになる。
【サイバー領域、継戦能力への対応】
一、サイバーや(組織的な戦いを継続できる)継戦能力は重要な論点だ。近年は、陸海空に加え、宇宙、サイバー、電磁波といった分野が新たな戦域として広がっている。軍事と非軍事が融合した戦いでは、サイバーが大きなポイントだが、日本は他国に比べて陣容で劣っている。しっかり整える必要がある。
防衛費、必要な予算積み上げで
【防衛費のあり方】
一、何よりも大事なのは、防衛力の中身を議論する中で何が不足し、何が必要か、優先順位をつけることだ。総額ありきよりも、中身の議論を積み上げて、どれだけの防衛費が必要か議論をしなければいけない。
一、(防衛費の財源について)防衛力を強化するには防衛費の増額が避けて通れないと思っている。中長期的に防衛力を増強していくには、安定的な恒久財源を示して国民の理解を得る必要がある。ただ、その前に防衛関係費などの予算で歳出削減の努力もしなければいけない。
【今後の与党協議】
一、(安保関連3文書の改定に向けて)近くスタートする。防衛力強化の内容や予算規模、財源について、自民党や政府とすり合わせをしていく。専守防衛を堅持しながら、国民の命を守るための議論をしていく。