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コラム「北斗七星」
小田和正さん(75)が、男性ソロアーティストとして史上最年長の全国アリーナツアーを展開中だ。6月にはニューアルバムも発表した。澄んだ高音の歌声は今なお健在である◆40年前の1982年、5人組のオフコースは日本武道館10日間コンサートで絶頂を迎えた。最終日、ボーカルの小田さんが歌の途中で声を詰まらせる。<あなたに会えて/ほんとうによかった/嬉しくて嬉しくて言葉にできない……>◆その涙の理由をファンは知っていた。コンサートの後、高校時代から一緒に活動してきた鈴木康博さんが脱退。異なる音楽の道を追求することに。4人だけのオフコースは89年に解散した◆「うまくいったなと思うことは、全部、つらい思いをしたあとだった」(自著『時は待ってくれない』PHP研究所)。ソロに転じ、91年、「ラブストーリーは突然に」が大ヒットした◆人生、思わぬ試練が続く。98年、自動車事故で負傷し、九死に一生を得た。その際、たくさんのファンからの「生きていてくれてよかった」という手紙に励まされ、“ファン第一”の人生観に変わったという。人生100年時代、挫折や試練を糧にしながら、はつらつと今を生きる小田さん。生涯現役のお手本である。(東)