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2022年10月10日

【主張】低出力核兵器 ロシアの使用を断じて許すな

ロシアが核兵器を使うのではないかとの懸念が高まっている。

米国のバイデン大統領は6日、ロシアがウクライナへの侵略に伴い、核兵器の使用も辞さない構えであることに対して、「このままでは、キューバ危機以来の核兵器の脅威にさらされる」と強調した。米国とソ連が激しく対立した冷戦期の1962年に、両国間で核戦争勃発寸前の事態に陥った「キューバ危機」。今、それと似た状況になろうとしている。核兵器の使用は断じて許されない。

危機感が強まっている背景に、ロシアがウクライナ東部のドネツクとルガンスク、南部のザポロジエとヘルソンの4州を一方的に併合し、自国領に組み入れたことがある。

ロシアの核戦略の基本原則は、通常兵器による攻撃でも、自国の領土の存亡に関わる脅威となる場合、核兵器を用いた反撃を認めている。プーチン大統領は先月21日、「わが国の領土保全が脅かされるのであれば、利用可能な全ての兵器を使う。これは、はったりではない」と警告し、核兵器の使用を示唆した。ロシアが併合した4州を取り戻すため、ウクライナ軍が一層攻勢を強めてきたら、それを自国領への脅威とみなし、ロシアが核兵器を使う可能性が生じているのだ。

ロシアが使用するとしたら、爆発力を抑えた低出力核兵器ではないかとみられている。ロシアと米国は、爆発力が1キロトン以下の低出力核兵器を保有している。最小のもので約0.3キロトンだ。広島に投下された原子爆弾が15キロトンであるのと比べると、爆発力は小さい。

だが、爆発力が最小の低出力核兵器でも、2020年8月に起きた、中東の国レバノンのベイルート港爆発事故と同等の破壊力だとの分析がある。同事故では、218人が死亡、7000人以上が負傷し、家が壊れ、住居を失った人は最大で30万人に及んだ。これでは“低出力”とは言えない。放射能汚染も加われば、被害はより甚大になる。どのような種類の核兵器も使われてはならない。

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