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2022年10月4日

日本の安全保障

国家戦略など3文書改定の論点 
厳しさ増す国際情勢

安全保障政策に関する基本的な3文書(安保3文書=国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画)の改定に向けた準備が進んでいる。岸田文雄首相が昨年10月、国会の所信表明演説で「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を断固として守り抜く」として、3文書改定の方針を掲げたことを受けた作業で、12月の閣議決定をめざす。公明党は2月から外交安全保障調査会で3文書改定に向けた勉強会を続けている。このうち、厳しさを増す安全保障環境の現状について紹介する。

■秩序への挑戦 国連は力による一方的な現状変更を非難

「厳しさを増す安全保障環境」という言葉は、近年の国際政治に関して頻繁に使用されている。

この言葉の内容について政府は、党の勉強会で次のような認識を示した。

「国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入している」

「ロシア、中国による一方的な現状変更や、北朝鮮の核開発問題は深刻化し、日本はロシア、中国、北朝鮮との最前線にある」

「国際秩序の変容だ。米中対立が顕在化し、力による一方的な現状変更を禁じている国際秩序への挑戦が課題になっている」

こうした認識の根拠として政府は、国連が非難したロシアのウクライナ侵略、さらに中国の南沙諸島の占拠や台湾に対する武力行使の放棄を約束しない姿勢などを“力による一方的な現状変更やその試み”の例として挙げている。また北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返していることに対しても「国際社会への挑発をエスカレートさせている」と批判した。

これらの現実を踏まえると、ウクライナで起きている事態は「インド太平洋地域においても生起し得る。武力攻撃が生起しているか否かを問わず、わが国が直面する安全保障上の課題は深刻化している」と政府は考えている。

また政府は、米ロ、米中が公然と批判し合う応酬が続く中で“力による一方的な現状変更を禁じた国際秩序への挑戦”が起きていると強調。武力による国際問題の解決を禁じた国連憲章など既存の国際規範を守る必要性を訴えている。

国際規範に挑戦する国として政府が特に注目するのが中国だ。中国は21世紀半ばまでに「世界一流の軍隊」を実現するとの目標を掲げている。政府は「世界一流とは米国に匹敵あるいは追い越す軍隊を意味している」と解釈している。

さらに中国は、国家・軍事目標として2035年頃を社会主義近代化の基本的実現、50年頃を社会主義近代化強国建設としている。この国家目標を踏まえ、政府は「35年までに日本はどれだけの抑止力を保有していくかが重大」との見解を示した。

■戦い方の変容 「軍事」と「非軍事」の融合への対応が必要

安全保障環境を左右する要因として、「戦い方の変容」がある。伝統的な陸海空の戦域(軍事作戦が行われる領域)だけでなく、宇宙、サイバー、電磁波の分野も主要な戦域となっているからだ。

領土・領海への武力攻撃は国民の生命・財産を奪う深刻な事態を引き起こすが、宇宙、サイバー、電磁波もすでに通信衛星やインターネットによって日常生活を支える必要不可欠な空間となっている。そこへの攻撃を阻止できなければ安全保障政策として不完全となる。

日本はすでに、現在の防衛計画の大綱(18年閣議決定)で「宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域と陸・海・空という従来の領域の組み合わせによる戦闘様相に適応することが死活的に重要」とし、これを多次元統合防衛力と定めている。しかし、まだ整備が始まったばかりで、例えばサイバー戦の専門人材の育成・確保にも課題が多い。

戦域の拡大の他に兵器の技術革新も「戦い方の変容」を推し進めている。

特にロシア、中国、北朝鮮のミサイル開発・配備は日本にとって脅威になり得る。これらの国は、米国にはない中距離弾道ミサイルを多数保有し、迎撃を困難にするために変則的軌道で飛ぶ弾道ミサイルや、空母キラーと呼ばれる対艦弾道ミサイルなどを開発。日本のミサイル防衛も強化を迫られている。

さらに、軍事と非軍事が融合した複雑な形態で事態がエスカレートするハイブリッド戦の登場もある。

これは、相手国周辺での軍事演習や防空識別圏への侵入という軍事行動とともに、電力や通信へのサイバー攻撃、さらに偽情報の流布などを組み合わせて相手の士気を低下させ「戦わずして勝つ」ことをめざす。

21年の米国防省報告は中国は少なくとも03年以降、心理戦・世論戦・法律戦からなる「三戦」コンセプトの展開を重視していると述べている。

米国は中国を唯一の競争相手とし、中国を抑止するため同盟国との協力を最優先事項としている。

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