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第14回 公明党全国大会 政調会長報告(要旨)
すべての人 大切にする社会を
「新しい日本」の創造と改革へ
25日に開催された第14回公明党全国大会での政務調査会長報告(要旨)を掲載する。
公明党全国大会で報告する高木陽介政務調査会長=25日 東京・千代田区
この度、政務調査会として取りまとめた「党大会・重要政策」のポイントについて、説明をさせていただきます。
今回のテーマは「日本を、前へ。~すべての人を大切にする社会を~」としました。
2年半にわたる新型コロナウイルス感染症との闘いや、緊張が続くウクライナ情勢を受け、国内外の先行き不透明感が高まっています。わが国においては、経済の回復が遅れ、少子高齢化や格差の拡大が進行する中、物価・エネルギー高騰が国民生活にさまざまな影響を及ぼしています。
こうした中で、今、政治に求められているのは、危機を乗り越え、国民が将来に希望を持ち、安心して生活できる、「新しい日本」の創造と改革です。
公明党は、社会を担う国民一人一人の力が最大限に発揮できるよう、全ての人を支え、大切にする社会づくりこそが、日本の新たな活力と安心の基盤につながると考えます。今後2年間を見据え、現下の課題に対応する七つの柱を立て、日本を前に進める改革プランを果敢に実行してまいります。
重要政策 七つの柱
子育て応援プラン策定に全力
1、経済の成長と雇用・所得の拡大
一つ目の柱は「経済の成長と雇用・所得の拡大」です。
喫緊の課題である「原油・物価高騰対策」については、予備費を活用して、電気代や食料品などの高騰から国民生活を守る対策を機動的に講じてまいります。
その上で、より重要なことは、「新しい成長と分配の好循環」を実現するため、デジタル人材の育成など人への投資を抜本的に強化し、データ・エビデンスに基づいた持続的な賃上げを実現することです。
特に、中小企業の賃上げを後押しする価格転嫁対策や生産性向上への支援を強化します。
また、働き方を自由に選べる社会の実現へ、非正規雇用の処遇改善や正社員化への支援、フリーランスの方々が安心できる労働環境の整備を進めます。
さらに、科学技術基盤を抜本的に強化する「トータルプラン」の策定、産業構造の転換やライフスタイルの変革を促す「エネルギー安全保障の強化と2050年カーボンニュートラルの両立」、デジタル化による産業競争力の強化と生産性の向上を図るなど、持続的な経済成長の実現に取り組みます。
2、誰もが安心して暮らせる社会へ
二つ目の柱は「誰もが安心して暮らせる社会へ」です。
少子高齢化・人口減少が急速に進む中で、一人一人の生活を支える全世代型社会保障の構築が急務です。
中でも少子化対策は最優先課題であり、仕事と家庭の両立支援や教育負担の軽減に加え、子どもの視点に立った政策の充実、男女間の不平等の解消・性別役割分担意識の是正、若者の経済的基盤の安定が重要です。こうした考え方の下、「子育て応援トータルプラン」の策定と実施に全力を挙げます。
教育立国の実現へ、少人数学級の実現や、いじめ、不登校、自殺等への対応強化、中間所得層を含めた奨学金の支援対象の拡大や既卒者の返還支援など高等教育の負担軽減に取り組みます。
年金、医療、介護、障がい者福祉サービスの充実へ、年金制度については、高齢期の長期化、働き方の多様化といった状況変化を踏まえ、年金制度改革関連法(2020年5月成立)に基づき、短時間パート・アルバイトの方の社会保険の適用拡大を段階的に実施した上で、さらに企業規模要件の撤廃も含めた見直し等を検討します。
医療については、就労と治療を両立できる仕組みづくりや、がんと生活習慣病の合併症予防を含む重症化予防の推進、高校3年生までをめざした子ども医療費助成の拡大などを推進します。
介護については、介護ニーズの多様化や地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築に向け、ICT(情報通信技術)活用等による業務の効率化、職員の処遇改善を図るなど介護人材の確保と介護現場の生産性の向上に取り組みます。
女性、若者、高齢者、障がい者の活躍促進では、指導的地位にある女性の割合などあらゆる分野における女性の参画拡大、若者政策を担当する大臣・部局の設置・明確化などを推進します。
さらに、高齢者が意欲や能力に応じて、働き続けられる環境整備、障がい者の情報アクセシビリティー(利用しやすさ)の確保や移動支援の充実、性的マイノリティー(少数者)の方や外国人など多様性を尊重する社会づくりに取り組みます。
3、デジタルで拓く豊かな地域社会
三つ目の柱は「デジタルで拓く豊かな地域社会」です。
最新のデジタル技術を活用して、私たちの暮らしや働き方、産業や地域社会の新たな改革を進めていきます。
地域の個性や豊かさを生かしつつ、地域住民による「人が主役のデジタル共助のまちづくり」や、人に優しいデジタル社会の基盤であるマイナンバーカードの普及などを促進し、行政手続きの簡素化やプッシュ型サービスへの転換を図ります。
誰一人取り残されないデジタル社会の実現へ、デジタルに不慣れな方を支援するデジタル推進委員を今年度中に2万人以上確保し、さらに、地域におけるつながりの中で、よりきめ細かな対応を行う「地域デジタルサポーター」の創設に取り組みます。
未来の農林水産業の構築では、生産現場におけるデジタル技術の活用、省エネ設備の導入、化学肥料・農薬の低減などに取り組み、魅力ある農林水産業の構築と所得向上を進めます。
4、国際社会の平和と安定
四つ目の柱は「国際社会の平和と安定」です。
新型コロナの世界的まん延やロシアのウクライナ侵略等により、世界情勢が激変する中、「平和の党」公明党は、分断から対話による国際協調主義の流れをつくり出し、世界の平和と安定に積極的な貢献を果たせるよう、取り組んでいきます。
まず、「戦争・核兵器のない世界のための国際秩序の構築」へ、唯一の戦争被爆国として、非核三原則を堅持しつつ、核保有国と非保有国との橋渡し役を担い、NPT(核兵器不拡散条約)体制の維持・強化にも取り組みながら、核兵器禁止条約批准への環境整備を進めます。併せて、国連の安保理改革や、アジアにおける安全保障対話の仕組みづくりを推進します。
次に、「国民の生命を守る、すき間のない安全保障体制」を構築するため、専守防衛の下、わが国の防衛力を着実に整備・強化するとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上に取り組みます。具体的には、年末までに取りまとめる国家安全保障戦略等の改定に向け、ミサイル防衛や宇宙・サイバー・電磁波などへの対応について、しっかりと検討を進めていきます。
5 感染症に強い日本へ
五つ目の柱は「感染症に強い日本へ」です。
2年半にわたるコロナ対応とその教訓を生かして、感染症に強い国づくりを進めます。
公明党は2年前の党大会で、感染症による危機的事態に迅速・的確に対応できるよう、「日本版CDC」の創設を提起するなど、国の司令塔機能の強化に取り組んできましたが、政府は本年6月、総理の指揮命令を徹底する「内閣感染症危機管理庁(仮称)」や、感染症に関する科学的知見の基盤となる専門家組織として、いわゆる「日本版CDC」の創設を決定しました。
こうした司令塔機能の強化とともに、感染症危機時における医療機関の役割分担の明確化や、医療人材を確保する仕組みづくりなども平時から計画的に進めていきます。
また、公明党がコロナ対策の決め手と位置付けてきたワクチン・治療薬の開発・実用化に向けて、研究開発拠点の強化などにより、国内で迅速にワクチン等を生産できる体制整備を進めます。
6、生命と暮らしを守る防災立国へ
六つ目の柱は「国民の生命と暮らしを守る『防災立国』へ」です。
公明党が推進してきた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を着実に実行するとともに、5か年対策後も継続的・安定的に取り組みを進めるため、必要な法改正などに取り組みます。また、地域の災害対応力の向上を図る防災人材の育成や、大規模災害時における救助・救急、医療活動等の対応力の強化などを推進します。
さらに、流域治水プロジェクトなど風水害に強い国づくり、南海トラフや首都直下地震などに備えるインフラ老朽化対策、公共施設等の耐震化、木密地域の火災対策などを進めるほか、災害時に高齢者などを迅速に避難させる「個別避難計画」の着実な策定などにも取り組みます。
そのほか、国内でどの地域が災害に見舞われても、経済活動などを速やかに継続・再開できるような機能分散型の国土形成の推進、発災から11年が経過した東日本大震災からの創造的復興へ引き続き、被災者に寄り添う産業・生業の再生等への支援を進めます。
7、気候変動対策
七つ目の柱は「気候変動対策、持続可能な地球環境へ」です。
公明党が政府に先駆けて訴えてきた「2050年カーボンニュートラル」の実現へ、グリーンライフ・ポイントの活用などを通じたライフスタイルの転換や、「脱炭素先行地域」の創出など地域の脱炭素化の推進とともに、わが国の優れた脱炭素技術・ノウハウを生かした途上国支援などで世界の脱炭素化に貢献するなど、気候変動対策の推進を主導していきます。
また、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を進めるため、携帯電話などに含まれる希少金属の資源循環の強化や、国内リサイクルの高度化・代替素材の製造に係る設備導入支援など資源循環の戦略的展開を推進します。
併せて、海洋プラスチックごみ対策や食品ロス削減のための国民運動の推進、生物多様性の確保、動物愛護の推進にも取り組みます。
重要課題への対応
最後に、重要課題である財政健全化、日本国憲法、原子力発電への対応についても明記しました。
引き続き、経済再生と財政健全化の両立に取り組むとともに、憲法改正については、緊急事態における国会機能の維持など優先すべきテーマについて、憲法審査会を中心に、丁寧かつ積極的な論議を積み重ね、国民の理解と合意形成に努めてまいります。
以上、重要政策のポイントについて、説明いたしました。重要課題が山積する厳しい局面にありますが、粘り強く解決に取り組み、公明党ならではの視点で、日本を前に進める改革を、私自身が先頭に立って進めてまいります。