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2022年9月24日

危機の時代克服へ 識者に聞く

コロナ禍の影響 
経済的格差がより顕在化 
非正規雇用への支援急げ 
中央大学教授 山田昌弘氏

——コロナ禍が日本の社会にどのような影響を与えたか。

山田昌弘教授 コロナ禍は、今まで存在していた問題を拡大、顕在化させた。1992年の国民生活白書で初めて少子化が指摘されて30年。今や「子どもが少ない」と言われた世代が大人になり、子どもを産み始めている。今後、本格的な人口減少に直面するが、コロナ禍は、この流れを加速させた。

背景にあるのは、コロナ禍で結婚や出産を控えるカップルが多いことだ。結婚、出産には安定した収入が求められるが、コロナ禍は将来への不安を強めた。長期的な観点から真剣に少子化対策を進めるべきだ。今後、不足する労働力を補うには、移民の受け入れなども検討する必要がある。

中高年の孤立対策も課題

中高年の一人暮らしも増えていくだろう。地域コミュニティーの再構築のほか、高齢者同士が施設ではなく在宅で安心して暮らせる仕組みなど孤立対策を真剣に考えるべきだ。

——経済的な格差はどうか。

山田 正規社員は感染しても休暇を取得しやすいが、観光や接客サービスのような業種では、女性の非正規社員が多く、感染すれば仕事を失いかねない。コロナ禍は正規雇用が守られて、非正規雇用が見捨てられるという格差の実態を浮き彫りにした。

経済的な格差に伴う教育格差、具体的には、インテリでリモートワークができる親の子どもと、現場で働く親の子どもに格差があることもはっきりした。学校では、どの子どもも平等に教育を受けられるが、家に帰ってからの行動が学力の差を生む。コロナ禍で家庭学習が増える中、家でパソコンを使うのが日常の家庭と、そうでない家庭との差は大きい。格差を縮める対策が必要だ。

多様な生き方に配慮した社会保障制度に

——社会保障制度は、どうあるべきか。

山田 現行の社会保障制度は「男性は仕事で女性は家庭」「離婚はしない」という昭和タイプの生き方、家庭が前提だ。ただ、今は多様なライフコースの人が増えている。離婚する人、一生独身の人、家族で同居しない人、同性で暮らす人など、どのライフコースでも有利不利がない社会保障制度の仕組みが必要だ。

例えば、正社員には失業手当が出るのに、非正規社員には出ないといった差別的な仕組みを改めなくてはならない。従来の“標準的な生き方”に収まらない多様な生き方をする人に配慮した全世代型社会保障制度とするべきだ。

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