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2022年9月22日

危機の時代克服へ 識者に聞く

低成長への処方せん 
現役世代の安全網拡充で「自己への投資」を後押し 
社会保障改革に向け常設機関が必要 
慶応義塾大学教授 小林慶一郎氏

慶応義塾大学教授 小林慶一郎氏

――新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ危機が日本経済に与えた影響は。

小林慶一郎教授 コロナによる環境変化と戦争による供給制約によって、経済を取り巻く不確実性がより大きくなった。日本の低成長は、30年前から続いているが、長期低迷の傾向が、より強くなる可能性があるのではないか。

――なぜ低成長が長期にわたっているのか。

小林 要因の一つは少子高齢化だ。老後に備えて現役時代に貯蓄を心掛ける人が増えることから消費は低迷、さらに生産年齢人口が減少して生産量が減り、経済の活力が失われている。

少子高齢化の流れを変えることは相当難しいが、子育て・教育環境を整備していくことは重要だ。待機児童減少などについては改善されている。0~3歳までの教育環境は、その後の人格や生涯収入に大きな影響を与える。国が幼児教育に力を入れることは理にかなっていると思う。

――その他、低成長の要因は。

小林 正規雇用と非正規雇用の格差が大きい問題だ。非正規雇用では、将来の職と所得の安定がなくなるため、「自己への投資」が割に合わない。その結果、生産性が低下し、成長も低迷していく。

だからこそ、現役世代のセーフティーネット(安全網)をしっかり整備しなくてはならない。「給付つき税額控除」を活用し、所得が低い非正規雇用者やフリーランスの人に迅速に給付金が行き渡る仕組みが必要になる。マイナンバーカードと銀行口座をひも付けて行政が所得を把握できるようにすべきだ。

膨大な政府債務の不安払拭が不可欠

――将来不安の払拭が必要だと。

小林 国内総生産(GDP)の2倍を超える政府債務への不安もそうだ。いずれ、自分の財産が国に取り上げられ、借金返済に充てられるとの不安から、貯蓄を増やしたり、手元資金として残そうという心理が働き、消費や投資が伸びない。

特に財政と一体である社会保障制度の持続性が確保されないと国民は安心できない。社会保障制度改革に向けて国が常設の審議会を設置し、全体像を議論してはどうか。

――金利政策は、どうあるべきか。

小林 低金利政策は一時的には景気を刺激するが、長く続けると企業がリスクを取る改革を実行せず、生産性の低い“ゾンビ的な企業”の延命になりかねない。日銀は低金利政策の出口に向けた長期シナリオを提示する必要がある。

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