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新型コロナ そこが知りたい! アストラゼネカの新薬
予防目的で投与可能 発症リスク77%減少
免疫不全症の患者など対象
新型コロナウイルス感染症の新薬として、英製薬大手アストラゼネカが開発した中和抗体薬「エバシェルド」が、厚生労働省により正式に使用が認められました。発症後の治療だけでなく、感染前に投与することで発症抑制効果が期待できる国内初の予防薬です。
8月末に開かれた厚労省の専門部会では、新薬の供給量が限られ、治療薬が他にもあることなどから、発症抑制目的に限って使用が了承されました。
新型コロナ予防を巡っては「ワクチンに置き換わるものではない」と指摘。投与対象について、成人と12歳以上かつ体重40キロ以上の小児で、免疫不全症の患者や抗がん剤投与を受けた患者など、がん治療などで免疫の働きが低下し、ワクチンの効果が得られない人に限定しています。
アストラゼネカによると、新薬はウイルスの働きを抑える2種類の抗体を筋肉注射で投与します。海外の治験では、ウイルスにさらされる前の1回の投与で、6カ月までの発症リスクが76.7%減少しました。感染者と接触後の発症抑制効果は示されておらず、濃厚接触者への投与は認めていません。
厚労省は、オミクロン株の派生型「BA.2」への有効性は維持されているとする一方、現在主流の「BA.5」などで有効性が減弱する恐れがあるとしています。
政府は、既に新薬を15万人分確保し、およそ3万人分が直ちに納入される予定です。必要な人に確実に届くよう、薬剤費は国が全額支援し、使用時点で対象医療機関に無償譲渡します。
厚労省が1日付で都道府県などに発出した事務連絡では、自己負担となる手技料などを3100円以下とすることが示されました。