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立党精神を胸に結党60年へ
石井幹事長、竹内政調会長に聞く
公明党は9月25日に第14回党全国大会を開催します。党大会の意義や議論される政策課題などについて、石井啓一幹事長、竹内譲政務調査会長にそれぞれ聞きました。
■(石井幹事長)統一選勝利へ勇躍出発
――党大会の意義は。
石井幹事長 9月13日は「大衆とともに」の立党精神の淵源となった公明政治連盟の第1回全国大会(1962年)から、60年の節目に当たります。今回の党大会は、この不変の原点である立党精神を継承し、2024年11月17日の結党60年へ勇躍出発する大会となります。さらに、来年春の統一地方選挙の勝利に向けた出陣という重要な意義があります。
■超高齢社会 課題克服へビジョンを
――党大会で議論される主なテーマは。
石井 今回は、2年以上にもわたって続く新型コロナウイルスの感染拡大や、ロシアのウクライナ侵略がもたらす国民生活や国際社会への影響など「多重危機」とも言うべき事態に直面する中で開かれます。特にコロナ禍は、人口減少・少子高齢化といった日本社会が抱える構造的な課題を顕在化、加速化させています。
さらに、25年には団塊の世代が全て、75歳以上の後期高齢者となり、40年ごろには国内の高齢者数がピークを迎えます。人口減少・少子高齢化が進む中、次の世代のために、どのような社会を築いていくのか――。政治の責任として、この問題に真剣に取り組む必要があります。
――具体的には。
石井 公明党は子どもからお年寄りまで必要な支援が行き渡る全世代型社会保障の構築に取り組んできました。党大会では、40年までの諸課題を克服する新たな構想として「安心と希望の『絆社会』2040ビジョン」(仮称)の策定に取り組む方針を示します。ビジョン作成に当たっては、教育、医療、介護など人間が生きていく上で不可欠なサービスを無償化する「ベーシック・サービス」の考え方などを踏まえて検討し、23年度中をめどに策定したいと考えています。
――外交・安全保障は。
石井 北朝鮮の度重なるミサイル発射など、日本を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさを増しています。国民の生命と平和な暮らしを守るためには、専守防衛と非核三原則を堅持しつつ、必要な防衛力を整備・強化していくことが重要だと考えます。
「核なき世界」に向けては、唯一の戦争被爆国として核保有国と非保有国の「橋渡し役」を担い、核軍縮を現実的に進展させ、核なき世界の実現をリードする決意です。
■議員力磨き党勢拡大誓う
――党勢拡大に向けては。
石井 議員の日常活動を一層充実させて、政策力や拡大力、発信力、現場力を兼ね備えた「議員力」を徹底的に磨いていくことを誓い合いたいと思います。
これまで取り組んできた①訪問対話②街頭演説③市民相談を基にした地域の実績作り④公明新聞の拡大――の四つの日常活動を強化するとともに、議員の拡大力をもう一段アップさせるため、恒常的・積極的に党を支持してくれる「アクティブサポーター(AS)」の拡大に総力を挙げます。
――このほかには。
石井 SNS(会員制交流サイト)の積極的な活用や、女性、青年の声を政治に生かした、党理解の輪を広げる取り組みも重要な柱です。公明新聞の拡大では、11月から12月を「機関紙拡大運動 集中期間」として、党の総力を挙げて取り組む考えです。党大会では機関紙が果たす役割を皆で確認したいと思います。
――統一地方選の勝利に向けて。
石井 来春の最大の政治決戦である統一地方選までに、今年12月の茨城県議選をはじめ、全国各地で統一外地方選が行われます。統一地方選後も、夏から秋にかけて岩手、宮城、福島の東北3県で地方選が実施されます。どの選挙も厳しい戦いが予想されますが、揺るぎない党の基盤の構築へ断じて負けられません。党大会を機に全議員が総決起し、全ての選挙で全員当選を果たそうと訴える考えです。
■(竹内政調会長)持続的な賃上げに総力
――党大会で提示する重要政策案の方向性は。
竹内政調会長 今夏の参院選で公約に掲げた「日本を、前へ。」に向けた改革を実行することが重要です。その上で、社会を担う国民一人一人を支え、全ての人を大切にする社会づくりこそが、新たな活力と安心の基盤につながり、改革の原動力になると考えます。この観点から、今後2年間を見据えて、7本の柱からなる政策を示します。
――1番目の柱に「経済の成長と雇用・所得の拡大」を掲げています。
竹内 物価・エネルギーの高騰から国民生活を守る対策を機動的に講じます。さらに、新しい成長と分配の好循環を実現するため、持続的な賃上げへ総力を挙げます。
特に、中小企業では価格転嫁対策や生産性向上への支援を強化します。非正規雇用の処遇改善や正社員化への支援、フリーランスが安心できる労働環境も整備します。
■子育てなど社会保障充実
――2、3番目は「誰もが安心して暮らせる社会へ」「デジタルで拓く豊かな地域社会」です。
竹内 全世代を守る社会保障の構築が急務です。年内に「子育て応援トータルプラン」を策定し、子育て・教育支援に全力を尽くします。年金、医療、介護、障がい福祉サービスの充実や、女性、若者、高齢者の活躍促進にも取り組みます。
マイナンバーカードの普及を促進し、デジタルに不慣れな人も支援して、誰一人取り残されないデジタル社会の実現をめざします。また、デジタル技術の活用などで魅力ある農林水産業の構築と所得向上を進めます。
――4、5番目に掲げた「国際社会の平和と安定」「感染症に強い日本へ」のポイントは。
竹内 戦争・核兵器のない世界のための国際秩序の構築へ、日本が積極的な貢献を果たせるよう後押しします。専守防衛の下、国民の生命を守る隙間のない安全保障体制の構築も推進します。
感染症による危機への迅速・的確な対応としては、国の司令塔機能の強化や、ワクチン・治療薬の開発・実用化に向けた体制整備を進めます。
――6、7番目で掲げた防災立国や、持続可能な地球環境を実現するための具体策は。
竹内 公明党が推進した「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」終了後も継続的に取り組むため、必要な法改正などを推進します。「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)」の実現へ、グリーンライフ・ポイントの活用などを通じたライフスタイルの転換を促します。
なお、これら7本の柱に加えて、重要課題への対応として、経済再生と財政健全化の両立などにも取り組みます。