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2022年9月1日

補聴器購入に支援を

高齢者の「聞こえ」と生活を改善 
公明、各地で助成制度を実現

主な補聴器のタイプ

補聴器は、加齢性の難聴に悩む高齢者の「聞こえ」を補い、日常生活を支えているが、軽度・中等度の場合、高価な購入費への国の支援がないため、使用をためらう人も多い。身体障害者手帳の交付対象となるような重度でなくても、難聴を放置すれば孤立化や認知症のリスクが高まる。公明党の推進で独自に助成を行う自治体も出てきている。公明党は7月の参院選マニフェストで、難聴の高齢者が補聴器を使える体制整備への支援の検討を掲げた。

「会話に喜び 心明るく」
技能者が“伴走” 東京・港区

補聴器でよく聞こえるようになり、夫との会話が弾む渡辺さん(左)=8月25日 東京・港区

「会話の声が聞こえなくて人と話すのが苦になることもありました。それが補聴器を使ってからは本当によく聞こえるように。気持ちが明るくなりました!」――。

喜びを語るのは、東京都港区に住む渡辺洋子さん(79)。公明党の推進で区が今年度から助成制度を始めたことに背中を押され、3カ月前に補聴器を購入した。

港区の助成制度の対象は60歳以上の区民で、所得制限は設けていない。助成額は、補聴器の多くが10万円を超える実態を踏まえ、住民税非課税の場合は補聴器購入額の全額(上限13万7000円)、課税の場合は半額(上限6万8500円)となる。

渡辺さんは現在も購入先の店舗で「認定補聴器技能者」の助言を受けながら聞こえ方の調整を行っている。同技能者は、公益財団法人テクノエイド協会が認定する補聴器の専門家(約4500人が登録)。港区では区民が安心して補聴器を使い続けられるよう、難聴の診断などを行う補聴器相談医の受診とともに、同技能者が在籍する店舗での購入を助成の要件としている。

同技能者で「にじいろ補聴器」の千葉星雄店長によると、補聴器に慣れるためには通常、調整を何度か行いながら、1~3カ月程度使ってみる必要があるという。「使い初めは新しい音の世界に戸惑うこともありますが、必ず慣れます。私たち技能者が伴走するので気軽に相談を」と話していた。

国の交付金活用 相模原市

厚生労働省が2020年度に行った調査によれば、難聴の高齢者向けに補聴器の購入助成を行っている自治体は全体の3.8%。一方、実施していない自治体からは「財源確保が難しい」といった回答も目立った。

こうした中で神奈川県相模原市は、補聴器購入への助成を求める公明党の訴えを受け、自治体における介護予防などの取り組みを幅広く支援する国の「保険者機能強化推進交付金」を活用し、財源を確保。同市の介護予防事業と連動する形で、7月から住民税非課税世帯の65歳以上の市民を対象に、2万円を上限に補聴器の購入費を助成している。

党政策集に掲げ推進

公明党は7月の参院選政策集で、「難聴に悩む高齢者が、相談医や専門家による助言のもとで自分に合った補聴器を使用する体制を整備するとともに、そのために必要な財政的な支援を検討します」と明記している。

党厚生労働部会長の佐藤英道衆院議員は、高齢者が耳の健康を保ち、自分らしく社会参加を続けられるよう、難聴の早期発見や補聴器購入への支援の重要性を強調し、「全国の地方議員と連携しながら、党のネットワークの力で推進する決意だ」と語っている。

認知症予防 期待できる

愛知医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 内田育恵 特任教授

加齢性の難聴が進行する一因として、大きな音にさらされることが挙げられる。大き過ぎる音が入ると、音を感じる耳の中の細胞が傷つくことにより進行する。一度、損なわれた細胞は自然に再生できない。テレビの音量に気を付け、耳栓で騒音から耳を保護するなど、まずは予防が大事だ。

男性の場合、70歳代では5~6人に1人が日常生活に支障を来すほどの難聴を抱えている。そのままにしておくと、会話や社会的交流が減少し、うつや無気力、認知機能の低下につながる。補聴器を使うことで一部の認知機能低下を防ぎ、認知症予防に一定程度の効果が期待できる。

難聴に関する社会的な啓発も重要だ。「それほど困っていない」などと耳鼻科を受診しない人も多い。難聴を放置している間に認知機能の低下やフレイル(虚弱)が進行してしまうことを、幅広い世代の人に知ってもらいたい。

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