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国際園芸博、27年に横浜で開催
花・緑の最新技術から
ドレスのような花びら、日持ち向上
開発進む高品質の花卉
先月の内閣改造で、2027年に横浜市で開催される国際園芸博覧会(以下、横浜花博(メモ))に向けた準備を進める担当相が新設され、斉藤鉄夫国土交通相(公明党)が就任した。国際博覧会条約に基づく最上位クラスの花博の国内開催は、1990年に大阪市で開かれた「国際花と緑の博覧会」(以下、大阪花博)以来、37年ぶり。ここで注目される、日本の優れた園芸・造園技術の今を追った。
横浜花博を通して政府などは、苦戦が続く花卉(観賞用植物)などの産業振興を後押しする考えだ。1998年をピークに、日本の花卉の産出額は減少傾向にある。かつての大阪花博後のガーデニングブームのように、各地の高品質花卉には来るブームの火付け役が期待される。
例えば、オランダで開催中のアルメーレ国際園芸博覧会では、花卉コンテストで日本産の受賞が相次いでいる。富山県産チューリップ「乙女のドレス」は、「球根類」部門の金賞に輝いた。花びらが約30枚もあり、縁がギザギザした「フリンジ咲き」。淡い藤色も特徴だ。県が開発した37番目のチューリップ品種。担当者は「育種するわれわれの目や感性が認められた思いだ。チューリップの本場オランダでの受賞は励みになる」と語っていた。
一方、今年10月ごろからは、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が改良したダリアの新品種3種類「エターニティ(永遠)シリーズ」が、切り花として全国の市場に出回る予定。常温で1週間の日持ちが難しいダリアの欠点克服に6年間を費やした。誕生した3品種は、水に生けた場合で6.9~12.0日と、従来品種「かまくら」の1.4~2.1倍の日持ち性を獲得した「自信作」(担当者)だ。
■グリーンインフラ 自然の機能、防災などに利用
横浜花博で紹介される造園関連の最先端技術として準備に力が入れられているのが、自然環境が持つ多様な機能を住環境の改善や防災などに賢く利用する「グリーンインフラ」だ。
既に各地の優れた事例は、国交省などがグリーンインフラ大賞を設け表彰してきた。昨年度の「国土交通大臣賞」には、埼玉県草加市の都市再生機構(UR)賃貸住宅「コンフォール松原」などの取り組みが選ばれた。
住棟の建て替えの際に配置を工夫することで、団地建設以降の約50年間で成長した樹木約230本を残した。「夏は豊かな緑陰、秋は紅葉の彩りをもたらす」と住民に好評だ。また、緑道沿いに深さ50センチ程度のくぼ地を設けた。雨水を一時的に貯留し、時間をかけて地下へ浸透させる植栽帯「レインガーデン」と呼ばれる手法を取り入れた。
担当相に就いた斉藤鉄夫国交相の抱負 機運盛り上げの先頭に
横浜市で開催する2027年国際園芸博覧会は、30年を期限とする国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成をより確実にし、脱炭素化と経済成長を両立する「グリーン社会」の実現を加速させる取り組みを世界へ大きく発信する契機となる。
花、緑、農に関連する文化・産業や観光の振興の起爆剤との期待も大きい。
加えて、かつて米軍施設だった、旧上瀬谷通信施設で開催されることから、友好と平和のメッセージを国内外に発信するという意義を、大切にしていきたいと考えている。
本博覧会の成功に向け、地元の自治体や経済界と連携しつつ、開催主体である博覧会協会の取り組みを後押しし、国としても万全の体制で臨む決意だ。成功に不可欠な機運の盛り上げに、私自身が先頭に立って取り組みたい。
メモ 横浜花博
公明推進 1500万人の参加見込む
開催場所は2015年に米軍から返還された「旧上瀬谷通信施設」(横浜市旭区・瀬谷区)。27年3~9月の開催期間に1000万人以上の来場者に加え、ICT(情報通信技術)の活用などで計1500万人の参加を見込む。国は、準備と開催・運営などを行う「一般社団法人2027年国際園芸博覧会協会」を指導・監督し、資金・人材面で支援する。
公明党は開催を一貫して推進してきた。16年12月、林文子市長(当時)が石井啓一国交相(当時、公明党)に同地区での開催検討への支援を要請した際、地元の公明議員も同席。先の参院選でも「開催に向け準備を着実に進める」と公約している。