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識者が語る「大衆とともに」60年
「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」―。1962年9月13日、公明党の前身となる公明政治連盟の第1回全国大会で、党創立者の池田大作・創価学会名誉会長が立党精神を示されてから、60年の節目を迎えます。この立党精神は公明議員に今も脈々と受け継がれ、福祉や教育、平和など各分野で政治を大きく切り開いてきました。公明党を長年見続けてきた、毎日新聞社客員編集委員の松田喬和さん、作家の佐藤優さんの2氏にコメントを寄せてもらいました。
■格差や分断緩和させる合意形成の役割に期待
毎日新聞社客員編集委員 松田喬和氏
「大衆とともに」を体現しようと、草創期の公明党が各地で行った、在日米軍基地や公害などの総点検運動が印象深いです。地域に飛び込み、自らの足と目で問題を先取りし提起する姿は、日本の政治に新風を吹き込みました。
当時、「福祉政策」を掲げた公明党に対して、「素人政治」といった批判もありましたが、今はどの政党も福祉政策を当たり前に叫ぶようになっています。公明党がいち早く提起してきた問題が、時とともに“政治の常識”として普及・浸透した一つの表れともいえます。
世界的な傾向ですが、今の政治には“あしき多数決主義”のきらいがあるように感じます。つまり、「多数派の意見に従え」といった物事の進め方の一方で、取り残される少数派への配慮が十分ではないということです。結果、それが社会の格差や分断という形で現れています。安倍晋三元首相の国葬一つとっても、異論が噴出し、国民がまとまりづらくなっているのがその象徴です。
国民の間に生じている格差や分断を緩和させるため、社会的なコンセンサス(合意)と安定をいかにつくり出すか――ここに「大衆とともに」の理念に立脚した公明党の新たな出番を見いだすことができます。また、与党・公明党の存在が自公政権の多様性を保障し、政策に幅をもたらす役割を果たせるはずです。
最近、一段と注目を集めているジェンダー(社会的な性差)の問題に代表されるように、今までの日本の常識があらゆるところで覆される時代が到来しています。しかも、国民の中でこれを身近な問題として受け止めている層が増え、関心度が高まるばかりです。
こうした問題を先取りして支持を広げている少数政党も出てきています。しかし、問題を先取りするだけでは十分でありません。その解決に向けて、実現性のある政策を打ち出すことができるのが政権与党の一角を担う公明党の責務でしょう。
これを、どのように国民にアピールしていくかが今後の課題だと思います。併せて、次代を見据えた、新しい問題提起を公明党には期待したいです。
■「人間主義」の政治貫き生活向上に顕著な業績
作家 佐藤優氏
公明党の結党は1964年11月17日ですが、精神的なスタートは62年9月13日にさかのぼるべきです。創価学会の池田大作会長(当時)が、「国民」や「労働者」ではなく「大衆」という言葉を使ったことに重要な意味があると考えます。すなわち、国籍や階級で区分せず、地域で暮らす全ての人を包み込む「人間主義」に基づく政治のあり方を示したからです。
公明党は、この原点からぶれることなく発展を遂げ、民衆の生活向上に努めてきました。歴史をひもとけば、東京都での母子寮総点検に始まり、イタイイタイ病の公害認定や小中学校の教科書無償化など、光が当たらない人々の“声なき声”を拾い上げてきました。
自民党と連立政権を組んでからは、福祉はもちろん、特にこの10年は財政や安全保障にも大きな影響力を持つようになりました。例えば、2019年に消費税率を10%に引き上げた際には、買い物時の痛税感を和らげる観点から軽減税率を導入させました。平和安全法制では、憲法の枠内で日米同盟を強化しました。
また、コロナ対策においても、1人一律10万円の特別定額給付金や途上国向けのワクチン支援などは、公明党がリードしたものです。
この60年で公明党は間違いなく素晴らしい業績を上げています。公明党以外の与野党に投票する人を含め、公明党の中道路線を受け入れる国民は、実際は少なくないとみています。ですから、自らの力を過小評価しないでほしいし、この中道路線を貫いてもらいたい。
一方、公明党はこれから難しい課題に直面することが予想されます。一つは、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛力整備や核廃絶の歩みをいかに進めるかということ。もう一つは、旧統一教会の問題に関連し顕在化してくる、憲法に保障された宗教団体による政治参加を阻む動きです。後者については、「信教の自由」に対する深刻な侵害であり、徹底的に闘うべきです。
「人間主義」「生命尊重」の価値観を政権の真ん中に据え、自民党にも言うべきことは遠慮しないで言う。それが日本をいい方向に進めると思います。











