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1型糖尿病の子に看護師派遣
学校などでインスリン注射
名古屋市
名古屋市は本年度から、自分でインスリン注射ができない1型糖尿病の児童らをサポートするため、市立の幼稚園や小学校に看護師を派遣している。これまでは、保護者が学校などへ足を運び、子どもに注射を打っていた。看護師の派遣が実現したきっかけは、公明党の近藤和博市議に届いた1通のメール。「ぜひ私たちの話を聞いてほしい」との切実な訴えを受け、近藤市議はすぐ母親らと会った。
名古屋市緑区に住む生野優季さんの長男・真浩君は、幼稚園に通っていた2018年、5歳の時に1型糖尿病の診断を受けた。血液中の糖分をコントロールするインスリンが分泌されない病気だ。生活習慣が原因の2型とは異なり、子どもに多いのが特徴で、血糖値の上昇を抑えるため、食前などにインスリン注射を打つ必要がある。
園児の真浩君が幼稚園で自ら注射を打つことは難しい。このため、優季さんが毎日、幼い長女を連れて昼食時に幼稚園まで行き、注射を打っていた。
HP参考に公明議員へ相談、実現
母親 「心強い。助かりました」
真浩君の小学校進学を目前にした20年3月。優季さんは「看護師が学校に来て注射してくれたら」と考え、市に問い合わせたが、そうした支援はないとの返答。そこで優季さんは「市会議員にお願いしてみよう」と思い立ち、ネットで調べた。目に留まったのは近藤市議のホームページだった。子育て世代向けの実績が多く載っていた。「この人なら」と思い、メールを送った。
近藤市議は、すぐに優季さん、真浩君親子を訪ねた。優季さんの訴えは切実だった。「1型糖尿病の子は、夜中も血糖値を測らねばならず、低血糖の時は食べさせ、高血糖の時はインスリンを注射する。多くの母親は慢性的な寝不足に陥っている。子どもが学校に行っている間に休みたいと思っても、子どもが自分で注射できるようになるまでは毎日学校に行かなければならない。これでは仕事もできない」
面会後、近藤市議は1型糖尿病の子を持つ親に聞き取りを重ね、昨年9月議会で質問。「1型糖尿病の児童生徒に対し、自分でインスリン注射を打てるようになるまで看護師等を派遣するなど、保護者の負担を軽減する仕組みを」と訴えた。市側は「来年度に向けて、看護師を派遣するなどの対応を検討する」と答弁した。優季さんは「当時、インターネットで配信された議会質問の動画を見て、とてもうれしく、心強かった」と振り返る。
市は今年4月、1型糖尿病の子にインスリンを注射する看護師の派遣を開始。給食の前後に学校などを看護師が訪れ、注射する。現在、市内で小学生3人、園児1人が利用している。
「本当に助かりました。ありがとうございます」。近藤市議と懇談した優季さん、真浩君親子に笑みがこぼれていた。