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【主張】防衛費概算要求 平和安全法制の実効性高めよ
「国家安全保障の最終的な担保となる防衛力を5年以内に抜本的に強化する」――政府の経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)で示された防衛力構想が動き出す。
防衛省は先週、来年度予算の概算要求として過去最高の5兆5947億円を示した。厳しさを増す安全保障環境に対応できる“新たな防衛力の姿”が示せるかどうかが問われる。
概算要求には金額の示されない事項要求が約100項目ある。これらは政府が年内に行う「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の安保3文書の改定論議で具体化される。
国民の生命・財産を守る安全保障政策とはいえ、財政事情は厳しい。新たに必要となる装備品や部隊配置などについて政府は丁寧に説明する責任がある。
公明党も3文書改定に向けた議論を進めている。
予算全体の中で防衛費の占める割合を現在のGDP約1%から2%に増額するよう求める声もあるが、公明党は「最初に金額ありき」ではなく、日本に対する脅威と危機に対処できる防衛力のあり方から検討をする。当然のことだが、憲法9条の専守防衛の範囲内でなければならない。
16年施行の平和安全法制は、専守防衛の下で可能な「自衛の措置」を明確にし、平時から有事まで隙間なく対応できる態勢を整え、日米同盟の信頼性も向上させた。3文書改定論議の中では、平和安全法制の実効性をさらに高めるための防衛力整備が求められる。
概算要求には、相手の脅威が及ばない遠方から侵攻を阻止する長射程ミサイルの保有が含まれ、防衛省は「隊員の安全を可能な限り確保する」ためと説明する。間違っても敵基地への先制攻撃に使用されない運用体制の構築も必要だ。
また、ミサイル防衛の強化や無人兵器の導入など最先端装備の開発や、宇宙、サイバー、電磁波の各領域での防衛能力も強化する方針である。世界の軍事技術の高度化に対応できる防衛力の検討が求められる。