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今年の猛暑、大雨なぜ?
記録的暑さ「異常気象」
偏西風の蛇行で高気圧重なる
気象庁の分析検討会から
今夏の記録的な猛暑や大雨は、暮らしに大きな影響を及ぼしています。こうした気候が続く要因は何か。気象庁が22日に開いた、専門家でつくる異常気象分析検討会(会長=中村尚東京大学教授)の見解を紹介するとともに、高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授に分析結果の受け止め、今後あるべき対策について聞きました。
今年は6月下旬から7月初めにかけて記録的な暑さが続きました。
気象庁によると、群馬県伊勢崎市は6月25日に40.2度を観測し、6月の国内最高気温を更新。東京都心では同日から9日連続で猛暑日を観測しました。6月下旬の平均気温は平年に比べ、東日本で4度、西日本で3.2度高く、ともに1946年の統計開始以降で最も高くなりました。
この記録的な猛暑について、検討会は地表の太平洋高気圧と上層の高気圧がともに強まったことが主要因と分析。中村会長は会見で「かなり極端な状況で、異常気象と捉えてもよい」と指摘しました。
猛暑には「高気圧」と「偏西風」が関係しています。偏西風は、日本列島付近上空を西から東へ吹き、その流れは不規則に南北に蛇行、周辺の気圧配置に影響を与えます。
今回の分析では、上層の偏西風の一つ「亜熱帯ジェット気流」が日本付近で北に大きく蛇行したことで、二つの高気圧がいずれもこの時期としては強く張り出す結果に。
さらに、「ラニーニャ現象」でフィリピン付近の海面水温が平年より高くなり積乱雲が発達、そこから日本列島の上層の高気圧へ暖かい空気を供給したことも高気圧の張り出しを強めることにつながったとの見解を示しました。
■地球温暖化も影響
高気圧の強まりに加え、地球温暖化に伴う気温の上昇傾向が続いていることも影響したと指摘しています。
日本の猛暑の一因となった偏西風の蛇行は、欧州を中心に海外でも異常な暑さをもたらしています。
一方、7月中旬から8月中旬にかけては東北や北陸などで大雨が相次ぎ、8月4日には新潟県関川村で24時間に560.0ミリの雨量を観測するなど、各地で記録を更新しました。背景には、偏西風の蛇行によって大気の状態が不安定になったり、太平洋高気圧の縁に沿って水蒸気の流入が続いたりしたことがあるとしています。
気象庁は23日、9~11月の予報を発表しました。偏西風が平年より北を流れるため、全国的に暖かい空気に覆われやすいと予想。9月は厳しい残暑になる可能性があるとしており、熱中症への警戒が必要です。
今、温室効果ガス減らす努力が重要
東京大学未来ビジョン研究センター 高村ゆかり教授
――気象庁の検討会が示した評価への受け止めは。
近年の夏の暑さや、線状降水帯による集中豪雨など、気候のパターンが従来とはかなり違ってきていることは国民の多くが認識しているでしょう。
今回、検討会が「記録的」と表現した通り、今年6月下旬から7月初めの暑さや7月中旬から8月中旬にかけての降雨はこれまでにないものでした。慎重な表現ではありましたが、検討会は猛暑や大雨などの気象について、地球温暖化が影響している可能性に言及しました。
これは各国の科学者や政府関係者らが集う「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)による、気温の上昇によって極端な高温や大雨が発生する頻度が上がり、高温や大雨の程度が大きくなるという指摘とも一致します。
――検討会の分析を受けて、今後あるべき対策は。
2点あると考えます。一つは、現在の治水対策や土砂対策、災害発生時の住民避難のあり方などの大幅な見直しです。将来の気温上昇とともに今後も想定を上回る集中豪雨などが生じる可能性があります。こうした気候の変化を織り込んで、自分の命や地域を自分たちで守るための対策を強化することが必要です。
当然、国の支援も不可欠です。すでに将来の気候の変化を織り込んだ河川対策の見直し、強化を進めていますが、自助努力や各自治体に丸投げではなく、国が総力を挙げて対応する必要があります。
もう一つは、集中豪雨や猛暑などの根本の要因となる気候変動への対策です。具体的には、温室効果ガスの排出を減らさなければなりません。
例えば、高断熱の建物やLEDなどの省エネ設備を選ぶなど、消費エネルギーを低減し、再生可能エネルギーを増やしていく行動が重要です。
今、温室効果ガス排出を減らす努力をしていくことが、将来の災害が起きる可能性を低くし、人の命や地域を守る取り組みと捉えるべきです。電力不足やエネルギー代の高騰への対策にもなります。









