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【主張】農水産物の輸出 上半期は過去最高、一層の開拓を
わが国の農林水産物や食品の輸出が伸びている。
農林水産省が発表した2022年上半期(1~6月)の輸出額(速報値)は、前年同期比で13.1%増の6525億円となり、上半期としては2年連続で過去最高を更新した。
コロナ禍で落ち込んだ外食需要が欧米を中心に回復したことに加え、小売店やインターネット販売向けも堅調に推移したことが要因だ。円安も追い風となっている。品目別では、ホタテ貝やブリが6割超も伸び、日本酒は33.7%増で、いずれも過去最高の輸出額となった。
農林水産物・食品の輸出拡大は、生産者をはじめ関係者の努力のたまものである。今後も官民一体の取り組みを強め、一層の拡大をめざしたい。
年間の輸出額は21年に初めて1兆円の大台を超えた。今年下半期も順調に伸びれば10年連続で過去最高を更新する。
政府は25年に2兆円、30年に5兆円の目標を掲げている。人口減少・少子高齢化の進展によって、国内市場が縮小する中、海外需要を積極的に取り込むことは農林水産業の振興に欠かせない。
このため政府は今年4月、主な輸出先に「輸出支援プラットフォーム」を設置する取り組みをスタートした。これは輸出先のニーズの把握や販路開拓などについて輸出事業者を支援するもので、既に米国やタイに設置された。
また、公明党の推進によって先の通常国会で輸出促進法が改正され、輸出品目ごとに生産者や輸出事業者らで組織する産地横断の「品目団体」を立ち上げ、国が認定する仕組みも創設される。こうした取り組みをしっかり進める必要がある。
東京電力福島第1原発事故を受けた日本産食品の輸入規制への対応も重要だ。
最大で55カ国・地域が輸入規制を実施していたが、これまでに43カ国・地域が撤廃した。残る欧州連合(EU)や中国などの規制撤廃に向け、政府は働き掛けを強めてもらいたい。