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重要技術の研究を支援
海洋、宇宙・航空領域に重点
経済安保巡り政府骨子案
半導体など重要物資の安定供給を柱とする経済安全保障推進法に基づく経済安保政策が着実に前進している。政府は8日、経済安保上、重要な技術の研究開発の強化に向けて財政支援を行う「特定重要技術」の骨子案を公表した。海洋、宇宙・航空、サイバー空間、バイオの四つの領域に用いる技術に重点を置いた。年内にも公募を実施し、今年度中に採択して研究を開始させる方針だ。
経済安保推進法は今年5月に成立。柱に①重要物資のサプライチェーン(供給網)の確保②基幹インフラの安定的な提供③先端的な技術開発支援④特許出願の非公開制度導入――の四つを据えた。8月1日には、重要物資の供給網強化と先端技術の開発支援の2分野で先行して施行され、特定重要技術の選定に向けた作業が本格的に始まっていた。
骨子案では、海洋領域について、自律型無人探査機(AUV)の性能技術の向上などを支援していく方針を明示。宇宙・航空領域では、多数の小型衛星を連携させて高速・大容量のデータ処理を行う「衛星コンステレーション」や、音速を5倍以上上回る「極超音速」技術などを盛り込んだ。
研究開発については、政府機関や民間企業、シンクタンクなどで構成される官民協議会が支援。資金は、5000億円規模の積み増しをめざす「経済安全保障基金」を活用する。
同法を巡って公明党は、経済安保上、重要となる先端技術の研究開発を支援していく重要性を強調。政府が先月示した同法の基本指針案に「官民の協力の下、特定重要技術の研究開発の促進と成果の活用に向けて取り組む」と明記された。