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食と暮らしのグリーンライフ・ポイント
企業や自治体など32団体が順次スタート
家計からの温暖化防止へ エコな行動への転換促す
国内の温室効果ガス排出量の約6割を衣食住を中心とした家計関連が占めている。環境省は8日、脱炭素型のライフスタイルへの転換を進めるため、環境に配慮した製品やサービスを選んだ人にポイントを発行する「グリーンライフ・ポイント」推進事業について、第2弾として6団体を採択したと発表。既に第1弾で採択された26団体と合わせて計32団体となる。現在、第3次公募を行い、年内まで受け付けている。同事業は公明党の強力な推進により実現。今後始まる具体的な事例とともに、公明党の取り組みを紹介する。
2030年度の温室ガス排出量を13年度比で46%減、50年の実質ゼロを実現するには家計の意識転換が欠かせない。
このため、ポイント還元を通じて消費者のエコな行動を「見える化」することで、国民の行動変容につなげていくのがグリーンライフ・ポイント推進事業の狙いだ。既に採択された団体は8月以降、ポイントの付与を始める。環境省によると、過去の実証事業を通じて、消費者の行動を変えるには、ポイント付与という動機付けが有効との結果が出ているという。
グリーンライフ・ポイントとは、環境配慮製品やサービスの選択など消費者の行動に対し、企業などが発行する環境配慮ポイントの総称。グリーンライフ・ポイントという独自のポイント制度が用意されるわけではなく、利用した店舗それぞれが実施しているポイント制度に、グリーンライフ・ポイント分が上乗せされる。対象となる行動は、①食②住まい③衣類④循環⑤移動――の五つの分野が示されている。
今回の事業では企業などに対し、ポイントを発行するために必要な企画や開発などの費用を補助する。提供する側の取り組みを後押しすることで、ポイントを発行する動きを一気に拡大することが目的だ。
具体的には、二つ以上の都道府県内で行われる全国規模事業では補助率2分の1(上限3億円)、単一の都道府県内で実施される地域規模事業では補助率3分の2(上限1億円)となる。ポイント発行は3年間続けることが原則で、具体的な制度設計は事業者に委ねている。環境省の担当者は「社会的にも環境意識が高まる中、環境に配慮した取り組みを打ち出すことは、企業にとっても極めて重要になってきている。事業を通じて、環境配慮に関わる取り組みを社会全体に広げ、国民運動につなげていきたい」と話している。
■取り組み例
・マイボトルの利用
・廃棄抑制へ古着の購入
・宅配便の受取に協力
・再エネ導入施設で宿泊
これまでの公募では、大手の通販サイトやスーパー、自治体など32団体が決まっている。省エネ商品の購入のほか、プラスチックや食品ロスの削減につながる行動をとることで、事業者がそれぞれ運営するサービス上でポイントを発行する。
例えば、楽天ポイントを運営する楽天グループは、省エネ家電や古着の購入のほか、再生可能エネルギー(再エネ)電力導入施設への宿泊などに対して、楽天ポイントを1~5%程度付与する。イオンモールは、プラスチック製のフォークやスプーンの受け取りを辞退した人に対して、抽選で「WAON POINT」が最大500ポイント付与される仕組み。
NTTドコモは、共通ポイント「dポイント」と連携する全国のスーパーやコンビニなどで、消費期限の迫った青果物や総菜を購入した人に発行する。
一方、自治体でも取り組みが進む。北九州市は小型電子機器の回収や、宅配便の初回受け取りに対してポイントを付与。堺市は、環境行動変容のアプリの導入を通じて、マイボトルの利用や省エネ家電の購入・買い替えなどでポイントを還元。一定ポイントをためることで、プレゼントが当たる抽選を検討している。
■公明が強力に推進
グリーンライフ・ポイントについて、公明党は、21年8月、環境相に対し、国民の環境配慮の取り組みにポイントを付与して還元する制度の創設を要望。21年度補正予算で101億円が計上された。参院選重点政策でも、グリーンライフ・ポイントによる新たなライフスタイルへの転換を加速することを主張している。