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携帯電話料金引き下げ促す
電気通信事業法改正案を国会に提出
国際的にも割高とされる日本の携帯電話料金の引き下げに向けた動きが本格化する。政府は今月、携帯電話の端末代金と通信料金を分離することを事業者に義務付ける電気通信事業法の改正案を閣議決定し、今国会に提出した。料金体系を分かりやすくすると共に、携帯各社の競争による料金の引き下げを促すのが狙い。同法改正案のポイントや、公明党の取り組みを紹介する。
端末代と通信料を分離
2年や4年の「長期縛り」も是正
電気通信事業法改正案の最大の特徴は、携帯電話端末の購入を条件にした通信料金の割引禁止である。
利用者が携帯会社に支払う端末代と通信料金を分離。それぞれの金額を明確にすることにより、利用者は各事業者の料金プランを比較しやすくなる。これによって、事業者間の競争が促され、通信料金の引き下げにつながることが期待される。
また、利用者を過度に囲い込むような条件の通信契約も禁止する。こうすれば、利用者は他の携帯会社への乗り換えがしやすくなる。
現在の販売プランには、新機種の端末代とセットで通信料金を割り引くものや、2年や4年といった「長期縛り」と呼ばれる、一定期間の契約継続を条件にした割引もある。
このため、例えば、定期的に端末を買い換える利用者は割引を受けられる一方、同じ端末を長期間使っている利用者にとっては通信料金が割高になるという不公平が生じている。
一定期間ごとに自動更新される契約を結んだ場合、途中で解約すると高額な支払いを求められるケースや、実際に使うデータ通信量は少ないのに大容量が利用できる高額な契約を結ばせるといった問題も指摘されている。
この結果、世界主要6都市のスマートフォン(スマホ)通信料金の比較調査(総務省が昨年9月に公表)では、日本の通信料金が国際的に高いことが浮き彫りになっている。
一方、消費者が実際に契約を結ぶことが多い販売代理店についても、総務相への届け出制を導入する。
販売代理店は電気通信事業法で、契約前に利用者に条件を説明することや、虚偽の内容を告げてはいけないことなどが義務付けられている。
ところが、「実際に使うデータ量は少ないのに大容量が利用できる高額な契約を結ばされた」「不要なサービスへの加入を強く勧められた」などの苦情が絶えない。今後、利用者保護の観点から、自社名や勧誘であることを告げずにセールスを行うことを禁止する。違反した業者は業務改善命令の対象とする。
格安スマホ事業者の接続料の算定見直し 総務省
総務省は、携帯電話料金の引き下げに向け、有識者会議で議論を進めている。今月14日には、複雑な料金プランを分かりやすくするため、契約期間に利用者が負担する通信料金と端末代の総額を示すよう携帯各社に求める中間報告案を同会議がまとめた。
また、格安スマホと呼ばれる、大手携帯電話事業者の通信回線を借りて低料金で多様なサービスを行う事業者についても言及。格安スマホ事業者が携帯大手から通信回線を借りる際に支払う「接続料」について、算出方法の見直しも盛り込まれた。
接続料は通信量の増大に伴い、単価は毎年低下。現在は過去の実績に基づいて金額を決める方式のため、毎年いったん過大な接続料を支払い、事後に精算しているという。
今後は、2020年度にも、新たに単価の下落傾向の将来予測をベースにして、毎年度の支払い金額を抑えられる仕組みとすることも提案。格安スマホ事業者にとっては資金繰りが楽になり、通信料金の引き下げやサービスの向上が期待できる。
公明、強力に推進
署名やボイス・アクションで
2015年12月、高市総務相(左端)にスマホ料金に関する提言を申し入れる党青年委のメンバー
公明党はこれまで、携帯電話の普及と料金引き下げに一貫して取り組んできた。
特に料金引き下げについては、署名活動や国会質問などを通じて、家計の負担を減らす低額料金プランの新設などを推進してきた。
15年7月には党青年委員会が政府に対し「青年政策アクションプラン」を提出。格安スマホ事業者の参入を促進することでサービス競争や料金引き下げを求めた。
同年12月にも政府に対し、国民の負担軽減に向けた料金プラン、端末価格、販売方法などの適切な改善を要請した。
昨年12月から党青年委が取り組んできた政策アンケート「VOICE ACTION(ボイス・アクション=VA)2019」にも携帯電話料金の引き下げを盛り込み、実現を求める多くの声が寄せられている。