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高額介護サービス費 払戻金 漏れなく受け取って
申請書を毎月送付し改善
大分市
大分市は本年度から、介護保険サービスを負担上限額を超えて利用した場合に、利用者が申請すれば超過分の払い戻しを受けることができる「高額介護サービス費」の申請書を毎月、対象者に送付している。これまで申請書の提出が必要だと気付かずに払い戻しが受けられず、悔しい思いをした市民の声を公明議員が議会で取り上げ、実現した。申請件数は大幅に増加している。
高額介護サービス費の支給申請について、制度が改善されたことを喜ぶ倉橋さん(右)と橋本市議
大分市はこれまで、2カ月に1回、高額介護サービス費の対象者に「介護保険給付費等のお知らせ」という通知書を送付していた。通知書の下段に払い戻し額などの記載があるものの、別途、申請書の提出が必要だとは気付かず、払戻金を受け取れずにいた対象者は少なくなかった。
改善のきっかけをつくったのは、市内に住む倉橋猛さん(64)。長年、施設に入所していた父を昨年亡くし、死亡届などの手続きをした後で、父の高額介護サービス費が未申請だったことを知った。だが、さかのぼって申請できる期間は2年間。亡くなるまでの2年間分は倉橋さんが申請し、取り戻せたが、60万円超になるそれ以前の約4年間分の払い戻しは受けられなかったという。
大分市全体の場合、高額介護サービス費の給付に該当したのは2018年度で6万5555件。このうち1万6056件、約1億4464万円が申請されないまま20年度に期限切れとなっている。
公明議員への相談から実現
「通知書だけでは気が付かない。制度を改善すべきではないか」。倉橋さんが思いを打ち明けた相手は、知人に紹介された公明党の橋本敬広市議。実情を知った橋本市議は2021年12月の定例議会で、対象者が確実に申請できるよう改善を求めた。
橋本市議の質問を受け、市は本年度から毎月、対象者への申請書送付を開始した。これに先立ち市は1月から、介護保険施設や居宅介護支援事業所に対し、高額介護サービス費の給付対象の可能性がある利用者に申請を促すよう協力を依頼。その結果、申請書送付の効果と合わせ、今年2月から5月までの申請受け付け件数は、前年同期比で約2倍となった。
倉橋さんは「これで申請しないままの人が減らせる。声を届けてくれて、ありがたい」と話している。