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【主張】障がい者雇用 長く働ける環境整備へ本腰を
中央省庁や自治体が障がい者の雇用数を水増ししていた問題を受け、政府は再発防止策などを盛り込んだ障害者雇用促進法の改正案を閣議決定した。今国会での成立を期したい。
改正案の柱の一つは、中央省庁などの公的機関が、障がい者かどうかを確認するために使った書類の保存を義務化し、ルールに従って障がい者を雇用しているかチェックできるようにしたことだ。また、労働時間が週10時間以上20時間未満の障がい者を雇った民間企業に対する給付金の新設も盛り込まれている。
改めて言うまでもなく、障がい者雇用数を水増しすることは、障がい者の働く機会を奪うものであり、許されることではない。
このため公明党は昨年の問題発覚以来、障がい者団体などと意見交換を重ね、その声を基に政府に提言し、今回の改正案に反映させてきた。二度と同じようなことが起きないよう公的機関は襟を正さなければならない。
折しも、あす22日、障がい者に限って初めて行われた国家公務員採用試験の最終合格者が発表される。最終的に2019年中に約4000人が採用される予定だ。
ここで指摘しておきたいのは、官民を問わず、障がい者の法定雇用率を達成することで満足してはならないということである。
障がい者の平均勤続年数は身体障がい者で10年にとどまり、知的・精神障がい者はさらに短い。誰もが長く安定的に働ける環境づくりが不可欠である。
この点、先進的に取り組む事例を参考にしたい。
鳥取県では、県庁内などに「ワークセンター」と呼ばれる知的・精神障がい者を対象にした専門部署を設け、簡単な事務作業や郵便物の集配といった業務を集約。支援員を配置して相談体制を充実した結果、長期就労に結び付いている。
大手印刷会社では、障がい者雇用における課題を把握するためのチームを立ち上げ、オフィスの拡張や短時間勤務制度の導入など勤務環境の改善につなげている。
障がいのある労働者も重要な人材であるとの視点から、環境整備に智恵を絞りたい。