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【主張】がん治療用RI 安定供給に向け国産化進めよ
がんの放射線治療などに用いる放射性同位元素(ラジオアイソトープ=RI)の安定供給に向け、国産化への動きが加速している。
政府の原子力委員会は5月31日、医療用RIの国内自給率アップを掲げた行動計画を決定した。公明党の主張を反映しており、評価したい。
RIを含んだ放射性医薬品は服用や注射によって投与され、病変部位に放射線を集中的に照射し、がん細胞を死滅させる。手術や抗がん剤に比べ痛みや副作用が少ないなど患者の負担が軽いメリットがある。またRIは、がんの画像診断の検査にも活用されている。
課題は、主に原子炉で作られるRIの大半を輸入に頼っているため、供給面で不安があることだ。放射性医薬品の一層の利用や新薬開発が期待される中、RIの自給率向上に取り組む必要がある。
このため今回の行動計画では、まずRIの製造について高速実験炉「常陽」(運転停止中)や研究用原子炉「JRR―3」を活用すると明記した。
その上で、年間約100万件の画像診断に使われるRI「モリブデン99/テクネチウム99m」は、可能な限り2027年度末までに国内需要の約3割を国産化する。また、前立腺がんへの高い治療効果が示唆されている「アクチニウム225」については、常陽で26年度までに製造実証を行うことを掲げた。
RIの国産化に関しては、公明党の三浦のぶひろ、あきの公造の両参院議員が、常陽とJRR―3の視察を踏まえ、国産化を政府に要望。熊野せいし参院議員も国会質問で取り上げた。政府は行動計画を着実に遂行してもらいたい。
公明党は、がん対策の強化を一貫してリード。とりわけ06年に成立した「がん対策基本法」により、がん診療連携拠点病院の整備や緩和ケアの普及、検診受診率の向上などが加速、さらに諸外国に比べ遅れていた放射線治療の普及も進んだ。RIの国産化を含め、今後も国民の命を守る取り組みに全力を挙げていく。