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【主張】訪日観光の再開 感染対策との両立が欠かせない
政府は1日、新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、1万人だった1日当たりの入国者の上限を2万人に引き上げた。
さらに10日からは、2万人の枠内で訪日外国人観光客の受け入れを再開する。インバウンド(訪日客)消費の回復に向けた重要な一歩と言えよう。
外国人観光客の受け入れは、コロナ感染拡大を受けて2020年4月から停止しており、2年2カ月ぶりの再開となる。内外の感染状況が相対的に落ち着いていることや、経済効果への期待が強いことを踏まえた措置だ。
受け入れの対象は、世界の国や地域を感染リスクに応じて三つに分け、最もリスクが低いグループの98カ国・地域からの観光客で、添乗員が同行するパッケージツアーの参加者に限定する。
1日平均の訪日観光客が約9万人だった19年と比べれば少ないが、コロナ禍によるインバウンド需要の“蒸発”で大きな打撃を受けた観光地や旅行業界の期待は大きい。
大切なことは感染対策である。
今回の受け入れ対象者は、出国時にPCR検査で陰性を確認したことを条件に入国時の検査が免除される。マスク着用などについては、政府が新たに策定するガイドラインの順守を求める。
滞在中の健康管理も必要で、ツアー客に限定したのも行動や感染状況を把握しやすくするためだ。
こうした取り組みを重ね、その結果を分析していくことが、政府がめざす入国制限の段階的緩和に欠かせない。
外国人観光客の受け入れ再開について、公明党の石井啓一幹事長は「コロナを完全に克服したわけではないが、社会経済活動との両立を徐々に図っていく局面に至っている。その一環として入国制限を緩和する試みについては評価したい」と述べている。
外国人旅行者の増加は日本経済の回復に重要だ。感染対策に万全を期しつつ、着実に進めたい。