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【主張】持続的な賃上げ 家計支え経済再生につなげたい
今年の春闘について経団連は20日、大手企業81社の回答状況を第1回集計として発表した。定期昇給を含む月額賃金の引き上げ率は、業績回復を背景に2.27%(7430円)と、2018年以来4年ぶりに前年の1.82%を上回った。
この流れを強くし、持続的な賃上げにつなげていくことが日本経済の再生に不可欠だ。
持続的な賃上げがなければ将来不安から財布のひもが固くなりGDP(国内総生産)の5割以上を占める個人消費に勢いは出ない。それが企業業績にも影を落とし、賃上げの原資を生み出すことが一層難しくなる悪循環に陥りかねない。
ところが、日本の実質賃金は約30年間ほぼ伸びていない。この点が、先進諸国の中で日本経済の成長率が低い要因の一つと指摘されている。
重要なのは持続的な賃上げで消費を喚起し、企業の収益増につなげ、さらなる賃上げを促す好循環をつくることである。
忘れてならないのは、大企業に比べ体力の弱い中小企業への目配りだ。
この点、企業に賃上げを促す「賃上げ税制」を拡充する税制改正関連法が、今国会で成立した意義は大きい。法改正により、基本給やボーナスを含めた賃金などの総額を増やした場合、その増額分のうち、大企業で最大30%、中小企業で最大40%が法人税から控除される。これは過去最高の水準だ。公明党が強く推進して実現した。
このほかにも公明党は、女性の所得向上に向け、今後も成長が見込めるIT分野への就労を後押しする「女性デジタル人材の育成」を主張、政府の政策に盛り込まれた。最低賃金のアップも訴え続けている。
また、経済成長の原動力となる脱炭素化やデジタル化を強力に進めることも欠かせない。
足元では、ウクライナ危機による資源高と円安に伴う物価高が国民生活や企業経営に影響を及ぼしている。家計を守り経済を支えるためにも、賃上げは重要だ。