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2022年5月17日

ローカル鉄道の将来像

国交省の有識者検討会が議論

コロナ禍が鉄道のローカル線の利用者減に拍車を掛けている。こうした中、国土交通省は2月から有識者による会議を開いて今後の対応について検討を始めた。ローカル線の現状と課題解決への論点を解説する。

■現状 利用者減にコロナ禍が拍車、赤字路線を支える余裕失う

鉄道は、バスに比べて大量輸送が可能で、定時性や速達性に優れている点から長年、住民の移動手段や観光に欠かせない乗り物として、大きな役割を果たしている。

このうち、ローカル線、特に過疎地域などを走る路線の利用者は年々、減少傾向で赤字路線も多い。

鉄道の営業キロ数について、JR6社の合計は1987年度の発足以来、新幹線の新規開通などで2万8キロメートルから2万444キロメートルに全体としては増えているが、在来線は減り続けている。

地方のローカル線の利用者減に関し国交省は、少子高齢化や沿線の人口減少、道路整備の進展に伴うマイカー移動の増加などが要因と分析している。

これまで、鉄道会社はローカル線の赤字について、都市部での収益で補ったり、減便などで対応してきた。

ところが、2020年から始まったコロナ禍で、外出自粛や在宅勤務の定着といった社会の行動変容が急速に進行。鉄道会社の赤字を補ってきた都市部における鉄道の収益が減り、ローカル線を支える余裕もなくなり存続の岐路に立たされている。

■論点 事業者と自治体の協力で地域の公共交通維持へ

国交省の調査では、20年度のJR6社の1キロメートル当たりの1日の平均乗車数を示す「輸送密度」は、大幅に低下。鉄道路線をバス路線に転換する目安となる4000人未満の路線の割合が約6割にもなっている。

こうしたローカル線の現状について、地域の交通網を改めて考える有識者検討会が2月、国交省に設置され、議論が始まっている。

検討会では、地域住民の移動手段を確保するため、鉄道事業者と沿線地域の協議を後押しするとともに、新たな時代における地域ごとの交通網の整備などについて議論している。

検討会の座長を務める東京女子大学の竹内健蔵教授は、第1回の検討会で、「廃止か存続か、単純な議論ではなく、危機感を共有しながら、多様な選択肢を議論し、戦略を導き出していきたい」と話している。

検討会では、複数の選択肢を示し、利点や課題などを議論している。

例えば、自治体などが鉄道施設を保有し、運行業務は鉄道事業者が担う「上下分離(公有民営)方式」の導入だ。事業者のコスト軽減が最大の利点で、信楽高原鉄道(滋賀)や京都丹後鉄道(京都)などで既に導入されている。

このほか、富山市でJR富山港線を活用して街づくりに大きく貢献している次世代型路面電車(LRT)や、九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線の復旧に採用されるバス高速輸送システム(BRT)などが注目されている。

斉藤鉄夫国交相(公明党)は4月15日の記者会見で、ローカル線について「地域の公共交通を維持することが最も大事だ。持続可能で地域の発展に資するものを考え、議論を進める必要がある」と強調している。

■燃料高騰も経営を直撃、公明が政府へ支援訴え

昨年から続く原油など燃料価格の高騰もローカル線の経営を直撃している。一部、運賃値上げを表明する鉄道会社も出てきた。

燃料高騰に関して公明党は、4月に政府へ緊急提言をした。この中で、地域経済と国民の暮らしを支える公共輸送サービスとして、地方鉄道への支援を政府に求めている。

この提言が反映された政府の総合緊急対策には、公共交通のデジタルトランスフォーメーション(DX=デジタル技術による変革)や電動車導入などによる、経営改善を図るための取り組みを支援するといったことが盛り込まれた。

ローカル線

JRの在来線幹線から分かれた地方支線のほか、地方鉄道のことを指す。

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