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【主張】経済安全保障 自由貿易を基本に国益を守る
「安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大している」――先週、可決・成立した経済安全保障推進法(推進法)の必要性を政府はこう説明してきた。ようやく“安全保障の観点”から経済施策を推進し国益を守る体制が整った。
半導体など産業に不可欠な物資の安定供給や、通信など基幹インフラの基盤強化ができていないと、国際情勢の変化で経済が大打撃を受け、国の安全まで脅かされる。政府は法施行に向け準備を急ぐ必要がある。
推進法で実施される対策は①重要な物資の供給確保②基幹インフラのサービスの安定的提供③先端重要技術の開発支援のための官民協力の推進④軍事に転用可能な機微技術を国外に出さないための特許出願の非公開措置――からなる。
このうち安定供給については、政府がその対象物資を指定し、民間事業者に対象物資の供給源の多様化や備蓄、さらに代替物資の開発などに関する計画を策定するよう求める。
また、基幹インフラはエネルギー、通信、放送、金融などが対象となる。それらの事業者は重要な設備を導入する場合、その設備の概要や供給者は誰かなどについて政府の審査を受けることになる。特定の外国製品に偏らないようにすることが目的だ。
こうした供給元や設備の選定は、本来、事業者の自由であるべきだが、推進法によって相当な制限と負担が課せられる。日本経済団体連合会(経団連)は公明党のヒアリングに対し「安全保障のリスクを事前に排除する必要な法律と認識しているが、事業者の自由を大前提に、規制は最小限にしてほしい」と訴えた。
公明党はこうした事業者の見解を重視し、自由貿易の下で、安全という国益確保とのバランスをとり、自由な経済活動が一方的に阻害されないよう主張。その結果、推進法第5条に「安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならない」と明記された。
安全と自由の両立が何よりも求められている。