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2019年3月9日

東日本大震災8年 「命を守る防災」考える日に

あさって11日、東日本大震災から8年を迎える。

 どれほどの歳月がたとうとも、大切な人、愛する故郷を失った心の傷が消えることはないだろう。それでも「あの人の分まで」「帰郷できる日をめざして」と懸命に前を向き歩み続ける人がいる。奪われた1万5000を超える尊い命に思いを巡らせ、鎮魂の祈りを捧げたい。

 被災地では、道路や災害公営住宅など生活インフラの整備が着実に進む。被災者の住まいがプレハブ仮設住宅から「終の棲家」へと移る局面にあって、健康問題やコミュニティーの喪失による孤立化という課題が一層、浮き彫りになっている。被災者が抱える悩みは多様化しており、引き続き、切れ目のない支援が不可欠だ。

 近年、豪雨や大地震など全国各地で自然災害が相次いでいる。加えて、政府の地震調査委員会の報告によると、今後30年間にマグニチュード7~8クラスの大地震が起きる恐れが高いとされている。

 そうした中で迎える「3・11」は特別な意味を持つ。改めて「失われた命を決して無駄にしない」との思いを強く持ち、「命を守る防災」を考える日にしたい。

 防災には、自分で身を守る「自助」、近隣や地域で助け合う「共助」、行政など公的機関による「公助」の三つがあり、とりわけ自助が要である。

 とはいえ、防災白書に掲載された調査結果では、半数を超える人が、災害への備えは「重要だと思うが、ほとんど取り組んでいない」と答えている。防災を「自分ごと」として捉えることが重要だ。

 被災地では震災遺構や伝承施設が次々と整備されている。現地を訪れ、自分の目で見て、語り部から被災体験を聞くことも、その一助となるだろう。

 全国で語り部活動をする宮城県石巻市の大学生は、「お金に余裕のない学生にもできる対策」として、100円ショップで買える防災グッズの活用方法を発信。“自分ごと視点”からの防災対策を提案している。

 いま一度、防災への取り組みを考え、できることから実践しよう。それが自身と大切な人の命を、そして故郷を守ることになるから。

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